ファクタリングの割引率は?相場や計算方法を解説

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ファクタリングを検討する際に最も気になる「割引率」。手数料としていくらかかるのか、いくら手元に残るのかが不透明で悩んでいませんか?多くの経営者が「思ったより受け取れる金額が少なかった」と後悔しています。本記事では、割引率の基本から計算方法、相場、費用の内訳まで徹底解説します。

取引方式や売掛先の信用力によって変わる割引率の仕組みを理解し、賢く活用すれば資金繰りを効率的に改善できます。ファクタリングを有利に利用するためのポイントをつかみましょう。

目次

ファクタリングの割引率の基本とは

ファクタリングと書かれたノート

ファクタリングを利用する際に最も気になるのが「割引率」です。これはファクタリング会社に支払う手数料の割合を示す重要な指標です。売掛金の早期現金化には必ずコストがかかりますが、その割引率は会社や取引方法、売掛先の信用力などさまざまな要因によって決まります。

売掛金の現金化は資金繰り改善に効果的な方法ですが、どの程度の費用がかかるのか、実際にいくらの現金が手元に残るのかを事前に理解しておくことが大切です。割引率を正しく理解して計算することで、ファクタリングが本当に自社にとって最適な資金調達方法かどうかの判断材料にもなります。

割引率の計算方法と手数料

ファクタリングの割引率は、売掛金の額面金額に対して差し引かれる手数料の割合を指します。たとえば割引率が10%の場合、100万円の売掛金からは10万円が手数料として差し引かれます。

しかし実際の計算はこれだけでなく「売掛金の額面金額×割引率−諸費用」という計算式で算出されるケースが多いです。諸費用には債権譲渡登記費用、印紙代、事務手数料などが含まれます。

場合によっては「掛目」という概念も登場します。たとえば掛目80%の場合、1,000万円の売掛金のうち800万円だけがファクタリングの対象となり、残りの200万円は保留金として後から返還されます。

この800万円に対して割引率が適用されるため、割引率10%なら80万円の手数料が発生し、手元に入るのは720万円となります。保留金からは諸費用が差し引かれるため、実質的な受取額は予想より少なくなる可能性があるため注意が必要です。

割引率の相場とは?

ファクタリングの割引率相場は、契約方式によって大きく異なります。2社間ファクタリング(利用者とファクタリング会社の間だけで契約)の場合は、5〜20%程度が一般的です。

一方、3社間ファクタリング(利用者、売掛先、ファクタリング会社の3者で契約)では、1〜10%程度と比較的低く設定されています。この差は、3社間ファクタリングでは売掛先が直接ファクタリング会社に支払うため、未回収リスクが低くなることに起因しています。

また、割引率は売掛先の信用力や業績、財務状況によっても変動します。売掛先が大企業や公共機関であれば、支払い不能になるリスクが低いため割引率も低くなる傾向にあります。同様に、支払期日までの日数が短いほど、また売掛金の金額が大きいほど割引率は低くなりやすいです。

ファクタリング会社選びの際は、単に割引率だけでなく、諸費用も含めた総合的なコストを比較検討することが重要です。

一括割引方式と個別割引方式

ファクタリングの支払方法には「一括割引方式」と「個別割引方式」の2種類があります。それぞれ特徴が異なるため、資金ニーズに合わせた選択が重要です。

一括割引方式は、売掛債権の全額を一度に現金化する方法です。たとえば1,000万円の売掛債権があり、割引率10%なら、900万円(手数料100万円を差し引いた金額)が指定日に一括で支払われます。事務コストが少なく済むため、手数料が比較的低めに設定されることが多いのがメリットです。

一方、個別割引方式は、売掛債権の範囲内で利用者が必要な金額だけを現金化できる方法です。たとえば1,000万円の契約枠の中で、当面は300万円だけ現金化するといった柔軟な運用が可能です。資金が必要になったタイミングで都度利用できるため、計画的な資金繰りに役立ちます。ただし、一括割引方式に比べて割引率が高くなる傾向があり、契約時に割引率が決まるため後から変更できない点に注意が必要です。

ファクタリングにかかる費用の内訳

計算機で計算する女性

ファクタリングは売掛金を早期に現金化できる有効な手段ですが、その利用には当然コストがかかります。実際のところ、ファクタリングを利用する際の費用はいくつかの要素から構成されています。単に「割引率」だけを見て判断すると、実際に手元に残る金額と想定との間に大きな差が生じる可能性もあります。

ファクタリングにかかる費用は、主に「割引料(手数料)」と「諸費用」に分けられます。これらの費用の内訳や構成を理解することで、よりコスト効率の良いファクタリング会社選びができるようになります。また、思わぬ追加費用が発生するリスクも防げます。

主な費用の詳細

ファクタリングにかかる主な費用は、基本的な手数料以外にもさまざまな諸費用があります。まず基本となる手数料(割引料)は売掛金額に割引率を掛けて計算されますが、それ以外にも多くの費用が発生する可能性があります。

登記費用は、債権譲渡登記が必要な場合に発生します。これには登録免許税や司法書士への報酬が含まれ、一般的に数万円程度かかります。とくに2社間ファクタリングでは債権譲渡登記を行うケースが多いため、この費用が発生しやすいでしょう。

印紙代も必要な費用の一つです。契約書には印紙を貼付する必要があり、その金額は契約金額によって数百円から数万円まで変動します。

さらに、ファクタリング会社によっては審査手数料や事務手数料(5,000円程度)を請求するケースもあります。出張費についても、遠方の企業へ担当者が出向く場合には交通費などが加算されることもあります。

これらの諸費用は会社によって大きく異なるため、見積もりを取る際には基本手数料だけでなく、すべての費用を含めた総額を確認することが重要です。

ファクタリング手数料には消費税が含まれる?

ファクタリングの手数料に消費税は課税されません。これはファクタリングが「金銭債権の譲渡」という取引に該当するためです。金銭債権の譲渡は消費税法上の非課税取引とされており、手数料に対しても消費税は発生しません。

たとえば、割引率10%で100万円の売掛金をファクタリングする場合、10万円の手数料が発生しますが、この手数料に消費税が上乗せされることはありません。手数料は税込み・税抜きという概念がなく、単純に手数料そのものが費用となります。

ただし、注意すべき点として、ファクタリングの諸費用の中には消費税が課税される項目もあります。例えば事務手数料や出張費などは課税対象となるため、見積書を確認する際には、どの費用に消費税がかかるのかを明確にしておくことが大切です。

もし、ファクタリング会社が手数料に対して消費税を請求してきた場合は、悪質な業者である可能性が高いため、契約を見直すか、別のファクタリング会社を検討したほうが良いでしょう。

割引率が影響を受ける要因

?マークと虫眼鏡がマークされたサイコロ状の木材

ファクタリングの割引率は一律ではなく、契約内容や関係者の状況によって大きく変動します。適正な割引率を判断するには、割引率に影響を与えるさまざまな要素を理解することが不可欠です。

この章では、売掛先や利用者の信用力、売掛金の額、支払期日までの日数といった代表的な要因に注目し、それぞれが割引率にどのような影響を与えるかを整理していきます。

売掛先の状況と割引率

ファクタリングでは、売掛先の信用力が割引率を左右する重要な要素となります。売掛先が上場企業や大手企業など信用度の高い企業であれば、未回収リスクが低いため割引率は比較的低めに設定されます。

一方で、売掛先が中小企業や支払い遅延の履歴がある企業の場合、ファクタリング会社は回収リスクを加味して割引率を高めに設定する傾向があります。契約にあたっては、売掛先の支払い能力と取引履歴をもとに審査が行われ、それに応じて手数料率が変動します。

利用者の信用力と割引率

売掛先だけでなく、ファクタリングを利用する企業自身の信用力も割引率に影響を及ぼします。たとえば、赤字決算や税金の滞納があると、ファクタリング会社はリスクを考慮して高い割引率を設定する可能性があります。

また、過去のファクタリング利用履歴や取引の透明性なども評価の対象となります。信用情報に問題がなく、財務内容が安定している企業であれば、割引率が低く抑えられる可能性が高くなります。したがって、自社の信用力を高める取り組みも割引率の適正化につながります。

売掛金の金額と割引率

売掛金の金額も割引率に影響する要因のひとつです。一般的に、売掛金の金額が大きいほど、ファクタリング会社はスケールメリットを見込めるため、割引率が低めに設定される傾向があります。

反対に、売掛金が少額の場合、事務コストやリスクの割合が高まるため、割引率は上昇する可能性があります。したがって、同じ信用条件であっても、売掛金の規模によって手数料が変動することは少なくありません。まとまった金額の債権をまとめて譲渡することが、コストを抑える一つの工夫となります。

支払期日までの日数と割引率

売掛金の支払期日までの残日数も、割引率を左右する大きな要因です。支払期日が近いほど、ファクタリング会社が資金を回収できるまでの期間が短いため、リスクが低く、割引率も低めに設定されやすくなります。

一方で、支払期日までの期間が長いと、その間のリスクや資金拘束の負担が大きくなるため、割引率は高めになります。契約のタイミングや請求スケジュールを調整することで、割引率を下げる余地が生まれることもあるため、戦略的な利用が求められます。

割引率から支払金額を算出する方法

計算方法と書かれたノートとマーカー

ファクタリングを利用する際に最も気になるのが、「最終的にいくら受け取れるのか」という点です。この金額は、売掛金の額面に対する割引率や諸費用によって決まります。適正な資金計画を立てるためにも、割引率をもとに支払金額(実際に受け取れる金額)を把握しておくことが重要です。

具体的な計算式は次のとおりです。

受取金額 = 売掛金 ×(1 - 割引率)- 諸費用

たとえば、売掛金1,000万円、割引率10%、事務手数料5万円であれば、

1,000万円 ×(1 - 0.1)- 5万円 = 895万円

となり、手元に入る資金は895万円です。このように、割引率だけでなく、別途かかる手数料も含めて計算することで、実際の調達額が明確になります。複数のファクタリング会社を比較する際にも、単なる割引率の数字だけでなく、諸費用を含めた総額で比較することが、より正確な判断につながります。

割引率を下げる方法とは?

プライスダウンのイメージ

ファクタリングは便利な資金調達手段である一方、割引率が高いと受取額が減少し、資金繰りを圧迫する可能性があります。少しでもコストを抑えるには、割引率を下げる工夫が欠かせません。

割引率の決定にはいくつかの要因がありますが、利用者自身の対応次第で見直しが可能な部分もあります。この章では、割引率を下げるために実践できる方法を3つの視点から紹介します。

複数社の見積もりを比較する

ファクタリングの割引率を下げる最も基本的で効果的な方法は、複数のファクタリング会社から見積もりを取り、比較検討することです。ファクタリング会社ごとに設定している割引率や諸費用は異なるため、同じ売掛債権でも会社によって買取金額に大きな差が生じることがあります。

複数のファクタリング会社に相見積もりを依頼することで、市場の相場感を把握でき、より有利な条件を引き出すことができます。たとえば、A社の割引率が15%、B社が12%、C社が10%だった場合、最も条件の良いC社を選ぶことができます。

また、見積もりを比較する際は、割引率だけでなく諸費用も含めた総合的なコストを見ることが重要です。割引率が低くても、諸費用が高額だと結果的に受け取る金額が少なくなる可能性もあります。見積書では以下の点を確認しましょう。

  • 基本の割引率(手数料率)
  • 債権譲渡登記の有無とその費用
  • 事務手数料や審査手数料
  • 印紙代
  • 掛目(保留金の有無と割合)

さらに、複数の会社から見積もりを取ることで交渉の余地も生まれます。「他社ではこのような条件を提示されている」と伝えることで、割引率の引き下げに応じてもらえる可能性もあります。

同一ファクタリング会社での利用履歴

同じファクタリング会社を継続して利用することで、割引率を下げられる可能性が高まります。これは利用実績を積むことで信頼関係が構築され、リスク評価が改善するためです。

ファクタリング会社にとって、初めての取引は売掛金が確実に回収できるかどうか不確かなため、リスク対策として割引率を高めに設定することがあります。しかし、1回目の取引でトラブルなく売掛金が回収できれば、2回目以降は割引率が下がることがあります。これは、売掛先と利用者の信用が実績によって証明されたからです。継続利用のメリットとしては以下のようなものがあります。

  • 2回目以降の取引で割引率が優遇される
  • 買取可能額の上限が上がる
  • 手続きが簡略化され、スピーディーに資金調達できる
  • 突発的な資金需要にも対応してもらいやすくなる

ファクタリング会社との良好な関係を築くためには、期日通りに売掛金を回収し、約束を守ることが何よりも重要です。とくに2社間ファクタリングの場合、回収した売掛金を遅滞なくファクタリング会社に支払うことで信頼を獲得できます。

また、定期的にファクタリングを利用し、安定した取引を続けることも利用実績を積む上で有効です。「優良顧客」として認識されることで、より有利な条件を引き出せる可能性が高まります。

他社へのファクタリング乗り換えのメリット

ファクタリングの割引率を下げる最も基本的で効果的な方法は、複数のファクタリング会社から見積もりを取り、比較現在利用しているファクタリング会社の割引率が高いと感じた場合は、他社への乗り換えも一つの方法です。競合他社は新規顧客の獲得を目的に、割引率の優遇や初回キャンペーンを実施している場合があります。

乗り換えによって条件が改善されるケースも多く、結果として受取金額が増える可能性があります。

ただし、乗り換え時には契約解除に伴う違約金や事務手数料が発生することもあるため、事前に契約内容をよく確認する必要があります。

まとめ

ファクタリングの割引率を理解することは、効率的な資金調達を実現する鍵となります。割引率は単なる数字ではなく、売掛先の信用力、支払期日、取引方式など様々な要因によって変動するものです。適切な知識を持つことで、より有利な条件でファクタリングを利用でき、資金繰りの改善に繋がります。

複数のファクタリング会社から見積もりを取り、継続的な利用や乗り換えなどの戦略を取ることで、割引率を下げることも可能です。事前に正確な金額計算ができれば、予想外の出費を避け、計画的な経営判断にも役立ちます。ファクタリングを賢く活用して、ビジネスの成長と安定を実現しましょう。

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