ゴミを減らす工夫|企業や家庭でできる取り組みを紹介

ゴミの山

毎日の生活で出るゴミの量は、実は私たちが思っている以上に地球環境に大きな負担をかけています。「もっとゴミを減らせるはずなのに…」と感じつつも、具体的な方法がわからずに悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

じつは、ゴミを減らす工夫は難しくありません。「3R」を意識した簡単な行動の積み重ねが、大きな変化を生み出します。マイバッグの活用、食品ロスの削減、適切な分別など、日常生活の中で今すぐ始められる方法がたくさんあります。

このコラムでは、企業の取り組みから家庭でできる工夫まで、具体的なゴミ削減方法をご紹介します。これらの方法を実践することで、環境への貢献だけでなく、家計の節約にもつながります。私たちの小さな一歩が、持続可能な未来への大きな一歩になるのです。

目次

日本におけるゴミ問題

ゴミ捨て

日本では家庭から排出されるごみの量が依然として多く、環境への負荷が大きな問題となっています。環境省の調査によると、日本における令和4年度のごみ総排出量は4,034万トンで、1人1日当たりのごみ排出量 880グラムとなっています。ちなみに4,034万トンはおよそ東京ドーム115個分です。

現在、日本は3R政策を推進し「ごみ削減と3R導入の段階」にありますが、最終処分場の残余年数は限られており、ごみの減量化は喫緊の課題となっています。特に、プラスチックごみが海に流出して生態系に悪影響を与える「マイクロプラスチック問題」も深刻化しています。

ごみを減らすためには、生ごみの量を減らすこと、水分を減らすこと、そしてリサイクルできるものはできるだけ分別して可燃ごみに混入させないことが重要です。

参考:一般廃棄物の排出及び処理状況等(令和4年度)について

ゴミを減らすと生活がどう変わる?

世界が変わる

ゴミを減らす取り組みは、環境保護だけでなく私たちの生活にも様々なメリットをもたらします。まず家計面では、ゴミ袋の使用量が減少することで支出が削減されます。また、食品ロスを減らすことで食費の節約にもつながります。

家事の面では、生ゴミの量を減らすことでゴミ出しの負担が軽減され、ペットボトルなどの使い捨て容器の使用を控えることで分別の手間も減ります。さらに、ディスポーザーを導入すれば生ゴミの処理が簡単になり、キッチンを清潔に保つことができます。 何より重要なのは、私たちの取り組みが子ども世代の未来に与える影響です。ゴミ処理施設の建設費用削減など社会的コストの低減に貢献し、持続可能な環境を次世代に残すことができます。子どもたちが環境について学び、実践することで、環境意識の高い社会の実現にもつながるでしょう。

「3R(リデュース、リユース、リサイクル)」を意識してゴミを減らそう

3R

限りある資源を大切にし、環境への負荷を軽減するために重要なのが「3R」の実践です。

まず「Reduce(リデュース)」は、ごみの発生自体を抑制する取り組み。マイバッグの持参や詰め替え商品の利用、食品ロスの削減などが効果的です。

次に「Reuse(リユース)」は、使い捨てをやめて繰り返し使うこと。ペットボトルを保存容器として再利用したり、フリーマーケットやリサイクルショップを活用したりする方法があります。

そして「Recycle(リサイクル)」は、資源として再利用すること。容器包装プラスチックは洗って出し、「雑がみ」もしっかり分別することで再資源化が可能になります。

地域によっては「5R」として「Refuse(断る)」と「Repair(修理)」を加えた取り組みも広がっています。日常生活の中でできることから始め、家族全員で協力できる環境づくりを心がけましょう。

家庭で始められるゴミ削減のアイデア7選

家でできること

私たちの日常生活では、意外なほど多くのゴミが発生しています。しかし、ほんの少しの工夫と意識の変化で、家庭から出るゴミの量は大幅に減らすことができます。ここでは、今日からすぐに始められる家庭でのゴミ削減のアイデアを7つご紹介します。

  1. 食材の無駄を減らすための工夫
  2. レジ袋を減らして環境に貢献しよう
  3. 使い捨て品を減らして廃棄物を削減しよう
  4. 詰め替え製品を活用してゴミを減らそう
  5. フリマサイトを利用して不要品を再利用しよう
  6. ゴミの分別方法を見直す
  7. ごみ処理の改善策を考える

どれも特別な準備や費用は必要なく、日々の生活の中に取り入れることができる簡単な方法ばかりです。これらの取り組みは環境に優しいだけでなく、家計の節約や暮らしの効率化にもつながります。できることから少しずつ始めて、サステナブルな生活習慣を身につけていきましょう。

食材の無駄を減らすための工夫

食品ロスを減らすことは、家庭でのゴミ削減に大きな効果があります。まず買い物の前に冷蔵庫や食品庫をチェックし、必要なものだけを購入する計画的な買い物を心がけましょう。また量り売りやバラ売りを活用して、食べきれる分だけ購入することも大切です。

調理の際には、野菜の皮や芯も活用するなど、食材を無駄なく使いきるよう工夫します。例えば、野菜くずはスープに活用したり、残ったおかずは別のメニューにアレンジしたりするなど、食材を最後まで使い切ることを意識しましょう。

外食時には食べきれる量だけ注文し、「30・10運動」(宴会などで開始後30分と終了前10分は席に座って食事を楽しむ)を実践することも効果的です。また、家庭で使いきれない食品はフードバンクへの寄付という選択肢もあります。これらの工夫で、食品ロスを減らし、ゴミの発生量を抑えることができます。

レジ袋を減らして環境に貢献しよう

プラスチック製のレジ袋は、使用後すぐに廃棄されることが多く、ゴミの増加につながっています。レジ袋は焼却時に多くの二酸化炭素を排出し、海洋プラスチックゴミの増加原因にもなっています。レジ袋1枚の生産に必要なエネルギーは原油約20mlに相当し、LED電球を6時間点灯できるほどだと言われています。

2020年7月からレジ袋の有料化が始まり、日本国内のレジ袋の流通量は約半減しました。この流れに乗じて、買い物の際はマイバッグを持参する習慣をつけましょう。マイバッグは繰り返し使用できるため、レジ袋の使用量を減らし、プラスチックゴミの削減に貢献できます。

地域によっては、マイバッグ持参で割引やポイントが付くお店もあります。環境への配慮だけでなく、経済的なメリットも得られるので、ぜひマイバッグの使用を日常に取り入れてみてください。この小さな行動が、地球環境を守る大きな一歩になります。

使い捨て品を減らして廃棄物を削減しよう

日常生活で使われる紙コップ、紙皿、割り箸などの使い捨て品は、便利な一方で一度しか使われず、すぐにゴミになってしまいます。これらの使い捨て製品を減らすことで、家庭から出るゴミの量を効果的に削減できます。

マイボトルやマイ箸を持ち歩く習慣をつけることで、外出先での使い捨て製品の使用を避けられます。マイボトルに飲み物を入れて持ち歩けば、ペットボトルや缶の消費が減り、ゴミの削減だけでなく節約にもつながります。また、一部のコーヒーチェーンでは、マイボトル持参で割引が受けられる場合も。

さらに使い捨ての食器類に頼らず、洗って繰り返し使える製品を選ぶことも大切です。また、食品の保存にはラップではなく、シリコン製の蓋や保存容器を活用するのも効果的。デザイン性の高いマイボトルやマイ箸も多く販売されているので、お気に入りのアイテムを見つけて楽しみながらエコ活動を実践しましょう。

詰め替え製品を活用してゴミを減らそう

洗剤やシャンプー、ボディソープなどの日用品は、詰め替え用製品を選ぶことでゴミの削減に大きく貢献できます。詰め替え用製品は本体容器に比べてプラスチック使用量が少なく、廃棄物の量を大幅に減らせます。

例えば、ある製品の詰め替えパックは、ボトルと比較して二酸化炭素排出量を約3%削減できるといわれています。

最近では、使いやすさと環境への配慮を両立した「ラクラクecoパック」のような商品も登場。これらはコンパクトでつめかえやすく、最後まで中身を使い切れるように工夫されているため、資源の無駄がさらに減ります。

また、スマートホルダーなどの専用器具を使えば、つめかえの手間なく詰め替え用パックをそのままセットして使用できる製品も。詰め替え用製品は通常、本体容器より割安なので、経済的なメリットも得られます。日用品を購入する際には、なるべく詰め替え用製品を選ぶ習慣をつけ、プラスチックゴミの削減に貢献しましょう。

フリマサイトを利用して不要品を再利用しよう

不要になったものをすぐに捨てるのではなく、フリーマーケットやフリマアプリを活用することで、ゴミの削減に貢献できます。自分には不要になったものでも、誰かにとっては必要なものかもしれません。特に最近ではスマホで簡単に出品や購入ができるフリマサイトやアプリが人気です。

衣類や家具、電化製品など、まだ使える状態のものは、ゴミとして処分する前に、こうしたプラットフォームでの販売を検討してみましょう。不用品を必要としている人に譲ることで、リユース(再使用)が促進され、資源の有効活用につながります。

また、地域によっては自治体が買取事業者と提携し、リユースを推進しているケースもあります。地域の掲示板サービスなども活用して、地域内での不用品の譲渡・販売が可能。ただし、不用品回収業者の中には悪質な業者もいるため注意が必要です。

適切なルートを通じて不要品を手放すことで、ゴミの削減と資源の有効活用を同時に実現しましょう。

ゴミの分別方法を見直す

ゴミの適切な分別は、リサイクル率を高め、最終的に処分されるゴミの量を減らすために非常に重要です。まず基本となる「可燃ごみ」「不燃ごみ」「資源ごみ」「その他ごみ」の4分類をきちんと理解し、各自治体のルールに従って分別しましょう。

特に注目したいのが「雑がみ」の分別です。トイレットペーパーの芯、お菓子の箱、紙袋など、リサイクル可能な紙類は可燃ごみではなく、資源ごみとして出すことで再生利用が可能になります。紙袋にこれらの紙類を集め、ある程度たまったら出す方法がおすすめです。

また、プラスチック容器は洗浄して「容器包装プラスチック」として分別することで、資源として再利用できます。ただし、水で軽く洗っても汚れが落ちない場合は無理せず、指定のごみとして処理しましょう。

スプレー缶や電池などの危険物は必ず分別し、自治体の指示に従って廃棄することも重要。正しい分別を心がけることで、「混ぜればごみ、分ければ資源」という言葉通り、資源の有効活用につながります。

ごみ処理の改善策を考える

家庭でのごみ処理方法を見直すことで、ごみの量をさらに減らすことが可能です。特に注目したいのが生ごみの処理。生ごみは重量があり水分が多いため、適切に処理することでごみの総量を大幅に削減できます。

生ごみの水分をよく切ってから捨てることは、最も簡単にできる対策です。水切りをすることで嫌な臭いや害虫の発生を防ぐだけでなく、ごみの重量も軽減可能。また生ごみを処理する際は、水に濡らさないようにすることも重要です。

より積極的な取り組みとして、生ごみ処理機やコンポストの導入も検討してみましょう。コンポストは微生物や菌の力を利用して生ごみを堆肥に変える装置で、ベランダや庭で気軽に始められます。生ごみが堆肥になれば、ごみの量が減るだけでなく、家庭菜園やガーデニングにも活用できます。

生ごみ処理機の設置も効果的で、生ごみの処理が簡単になり、臭いや害虫の問題も解消できます。なお、自治体によっては生ごみ処理機の購入に助成金を出している場合もあるので、ぜひチェックしてみてください。

ゴミを減らすには?日本企業やお店での取り組みを紹介

取り組み

環境保全の重要性が高まる中、多くの日本企業や小売店がゴミ削減に向けた革新的な取り組みを始めています。企業の環境への配慮は、単なる社会的責任にとどまらず、コスト削減や消費者からの支持獲得にもつながっています。

ここでは、私たちの日常生活に関わりの深い企業やお店が実践している、参考にしたいゴミ削減の取り組みを紹介します。これらの事例は、私たち消費者が商品やサービスを選ぶ際の新たな視点を提供してくれるでしょう。

ゴミを減らすための企業の取り組み

日本企業は環境負荷を軽減するために様々な取り組みを展開しています。まず注目すべきは、容器包装の削減と再設計です。洗剤やシャンプーなどのメーカーは、詰め替え用製品を積極的に開発し、プラスチック使用量を抑えています。例えば某メーカーでは、使いやすい詰め替え用製品を開発し、従来品と比べてCO2排出量を約3%削減しています。

また、飲料メーカーではペットボトルのリサイクルを促進し、再生プラスチックを使用した新製品の開発も進んでいます。食品メーカーは賞味期限が近い商品の割引販売を積極的に行い、食品ロス削減に貢献しています。

特筆すべき取り組みとして、某陶磁器メーカーは、捨てられる食器をリサイクルして肥料にした商品を開発・販売しています。また食器のサブスクリプションや古くなった食器のリカラーなど、廃棄物削減や資源枯渇問題の解決に向けた多角的なアプローチを展開しています。

ゴミを減らすためのお店の取り組み

小売店や飲食店も独自のゴミ削減策を実施しています。スーパーマーケットやコンビニでは、マイバッグ持参者への特典付与や簡易包装の推進により、レジ袋や過剰包装によるごみの発生を抑制。また、賞味期限が近い商品を割引販売する「見切り品コーナー」を設け、食品ロスの削減に努めるお店も増えています。

飲食店業界でも環境に配慮した取り組みが進んでいます。一部のレストランではテイクアウト時に再利用可能な容器を提供し、プラスチックごみを削減。また、来店客数を予測して適量の料理を準備することで、作りすぎを防ぐ工夫も広がっています。

さらに先進的な取り組みとして、地元農家と連携し、見た目に問題があるだけで廃棄されてしまう「規格外野菜」を積極的に仕入れて活用する飲食店も増えています。

こうした取り組みは、生産段階での食品ロス削減にも貢献しています。これらの環境に配慮した企業やお店を消費者が意識的に選択することで、社会全体のゴミ削減の動きをさらに加速させることができるでしょう。

まとめ

ゴミを減らすための工夫は、私たち一人ひとりの日常生活から始めることができます。この記事では、企業やお店の取り組みから家庭でできる7つのアイデアまで、さまざまなゴミ削減方法を紹介してきました。

食材の無駄を減らす、レジ袋を使わない、使い捨て品を避ける、詰め替え製品を選ぶ、フリマサイトを活用する、ゴミの分別を徹底する、そして生ごみ処理の方法を改善するなど、どれも特別な準備や費用をかけずに始められる取り組みばかりです。

大切なのは、「Reduce(リデュース)」「Reuse(リユース)」「Recycle(リサイクル)」の3Rを意識した行動を日常に取り入れること。小さな行動の積み重ねが、ゴミの削減につながり、ひいては地球環境の保全にも貢献します。

また、環境に配慮した企業や店舗を選ぶことも、消費者として可能な重要な行動です。私たちの選択が、企業の環境への取り組みをさらに促進させることにもなるでしょう。

持続可能な社会の実現に向けて、今日からできることから始めてみませんか。一人ひとりの小さな変化が、より良い未来への大きな一歩となります。

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