ファクタリングは請求書のみで契約できる?必要書類を詳しく解説

ファクタリングは請求書のみで契約できる?必要書類を詳しく解説

資金繰りに悩む建設業の経営者にとって、ファクタリングは売掛金を早期に現金化できる強力な資金調達方法です。しかし「どんな書類が必要か」「申込から入金までどのくらいかかるのか」など、初めての方には不安も多いもの。

この記事では、建設業におけるファクタリングの基本から、必要書類の詳細、迅速に契約するためのポイントまで詳しく解説します。適切な会社選びによって最短即日での資金調達も可能です。建設業の特性を踏まえた最適なファクタリング活用法をマスターしましょう。

目次

ファクタリングの基本と必要書類

ファクタリングの基本と必要書類

ファクタリングは建設業界でも活用できる資金調達方法ですが、申込にあたってどのような書類が必要なのか、そもそもファクタリングとは何かを理解しておくことが重要です。

ファクタリングとは

ファクタリングとは、企業が保有する売掛金(売掛債権)をファクタリング会社に売却して早期に現金化する資金調達方法です。建設業では工事完了から入金まで数ヶ月かかることも多く、その間の運転資金確保に有効です。

ファクタリングには「2社間」と「3社間」の2種類があります。2社間ファクタリングは、ファクタリング会社と利用者間のみで契約を結び、取引先に知られずに利用できるメリットがあります。3社間ファクタリングは、取引先も契約に参加し、通常は手数料が2社間より安くなる傾向があります。

請求書だけで本当に契約できるのか

結論として、請求書だけでファクタリング契約を結ぶことは基本的に難しいです。請求書は売掛金の存在を証明する重要書類ですが、それだけでは不十分とされています。

請求書だけでは売掛金の実在性を確実に判断できないため、ファクタリング会社は貸し倒れリスクを避けるために複数の書類提出を求めます。通常は請求書に加えて、通帳のコピーや身分証明書などが最低限必要となります。

請求書の偽装は技術的には容易なため、取引の信頼性を証明するには補完的な書類が不可欠です。取引先からの入金履歴が確認できる通帳コピーは、特に重視される傾向があります。ただし、一部のファクタリング会社では継続的な利用者やリピーターに対して、請求書のみで契約できる簡易審査制度を設けているケースもあります。

「請求書のみ」で利用できるケースとその条件

「請求書のみ」で利用できるケースとその条件

ファクタリングは原則として請求書だけでは利用できませんが、例外的に請求書のみで利用できるケースもあります。特定の条件を満たす場合に限り、書類提出が簡略化される可能性があるので、それぞれのケースについて詳しく見ていきましょう。

少額ファクタリングの場合

少額のファクタリングでは、請求書のみ、あるいは最小限の書類で利用できる場合があります。この「少額」の定義はファクタリング会社によって異なりますが、一般的には数十万円程度が目安です。

少額案件では貸し倒れが発生しても影響が比較的小さいため、審査基準が緩和されることがあります。特に個人事業主やフリーランス向けのファクタリングサービスでは、10万円以下の少額案件に対して簡易審査を採用しているケースが見られます。

ただし、少額であっても全く審査がないわけではありません。最低限の書類提出は求められますし、初回利用時は書類が多めになる傾向があります。利用限度額も最初は低く設定され、信頼関係を構築しながら徐々に引き上げられていくケースが一般的です。

既存顧客・リピーター向けの簡易審査

ファクタリング会社との取引実績がある既存顧客やリピーターは、2回目以降の利用時に簡易審査が適用されることがあります。このような場合、請求書のみ、あるいは最小限の書類で契約できる可能性が高まります。

一度取引を行った顧客については、既に基本情報や取引実態が確認済みであるため、再審査の必要性が低減します。また、過去の取引で滞りなく支払いが完了していれば、信用度が向上し審査がスムーズになります。

特に同じ取引先との売掛金を継続的にファクタリングする場合、取引先の信用情報も蓄積されているため、審査の簡略化が図られやすくなります。最大の簡易化として、請求書のみでの契約が認められるケースもあります。

オンライン特化型ファクタリング会社の特徴

近年増加しているオンライン特化型のファクタリング会社では、申込から契約までをすべてオンラインで完結できるサービスが提供されています。これらの会社は必要書類を最小限に抑え、スピーディーな審査と入金を特徴としています。

オンライン特化型会社では、請求書とごく少数の補完書類のみで申込可能なケースが多く、書類提出もスマートフォンでの撮影・アップロードで完結します。AI審査システムを導入している会社では、最短30分程度で審査から入金までが完了するケースもあります。

契約形態別の必要書類一覧

契約形態別の必要書類一覧

ファクタリングには2社間と3社間という異なる契約形態があり、それぞれで必要な書類が異なります。契約形態に合わせた適切な書類準備を行うことで、スムーズな資金調達が可能になります。

2社間ファクタリングの必要書類

2社間ファクタリングでは、ファクタリング会社と利用者の間だけで契約を結びます。取引先に知られずに利用できる点が大きな特徴です。必要書類としては、以下のものが一般的です。

最低限必要となる書類は、請求書、通帳のコピー(表紙付き2~3ヶ月分)、代表者の身分証明書の3点です。取引先との継続的な取引が確認できる通帳履歴は特に重視されます。これに加えて、法人の場合は商業登記簿謄本や印鑑証明書が必要になることがあります。

2社間ファクタリングでは、債権譲渡登記が必要となるケースもありますが、近年では「債権譲渡登記不要」を掲げる会社も増えています。登記が必要な場合は印鑑証明書も必須となるため、事前に確認しておくことが重要です。ただし、登記不要の場合でも印鑑証明書を求められるケースはあります。

3社間ファクタリングの必要書類

3社間ファクタリングは、ファクタリング会社、利用者、取引先の3者で契約を結ぶ形式です。取引先も契約に参加するため、手数料が2社間より安くなる傾向があります。必要書類としては、以下のものが挙げられます。

2社間ファクタリングで必要な書類に加えて、取引先からの「債権譲渡承諾書」が必要となります。この書類には、売掛金の譲渡に取引先が同意したことを証明する内容が記載され、取引先の社印が押印されていることが求められます。

また、3社間ファクタリングでは取引先の信用情報も審査の対象となるため、取引先に関する追加情報の提出を求められることもあります。具体的には、取引先の企業概要や財務状況が分かる資料などです。これらの書類は建設業界の場合、元請けに関する情報となるので事前準備が必要です。

申込者の属性別にファクタリングに必要な書類

申込者の属性別にファクタリングに必要な書類

ファクタリングサービスを利用する際、申込者が法人なのか個人事業主なのかによって、必要となる書類は異なります。それぞれの立場に応じた書類準備を行うことで、審査をスムーズに進めることができます。

法人が申し込む場合の必要書類

法人がファクタリングを申し込む場合、法人としての実在性や信用度を確認するための書類が必要となります。基本的な必要書類としては以下のものが挙げられます。

まず、法人の実在を証明する商業登記簿謄本(登記事項証明書)が必要です。これは法務局で取得でき、有効期限は通常3ヶ月以内のものが求められます。また、契約に必要な印鑑証明書も同様に法務局で発行されるものを用意します。

さらに、決算書(直近2~3期分)が求められることも一般的です。ただし、ファクタリングは売掛先の信用力を重視するため、決算内容が赤字でも審査に通過する可能性があります。その他、身分証明書や通帳のコピー、売掛金の存在を証明する請求書なども必要となります。

個人事業主が申し込む場合の必要書類

個人事業主がファクタリングを申し込む場合、法人と比べて必要書類の種類は変わりますが、基本的な審査基準は同様です。個人事業主特有の必要書類としては以下のものが挙げられます。

商業登記簿謄本の代わりに、開業届または確定申告書が必要となります。これらは個人事業主としての事業実態を証明するためのものです。確定申告書は直近1〜2年分の用意が一般的です。

また、個人の身分証明書は特に重要で、運転免許証やマイナンバーカードなど顔写真付きのものが求められます。通帳については、事業用口座と個人用口座が分かれていない場合でも、取引先との入出金履歴が確認できれば認められることが多いです。

売掛債権を証明するための書類

売掛債権を証明するための書類

ファクタリングの核心は売掛債権の存在とその信頼性です。売掛債権を確実に証明するための書類準備は、審査を通過するための重要なポイントとなります。

必須となる売掛関連書類

売掛債権を証明するために最も基本的な書類は請求書です。請求書には取引内容、金額、支払期日などの重要情報が記載されています。ただし、請求書だけでは売掛債権の実在性を完全に証明できないため、補完的な書類も求められます。

請求書を補完する書類としては、納品書、発注書、契約書などが挙げられます。特に元請けからの発注書は、売掛債権の実在性を高める重要な証拠となります。

高額案件や特殊案件の追加書類

高額な売掛債権や、特殊な案件では通常より詳細な書類提出を求められることがあります。これはファクタリング会社にとってリスクが高い取引となるためです。

一般的に500万円以上の案件では、追加書類を求められるケースが増えます。具体的には、取引の詳細がわかる仕様書や契約書の全文、工事案件であれば工程表や施工写真などが追加で必要となることもあります。

また、新規取引先との取引や、特殊な支払条件(長期の支払いサイトなど)の場合も追加書類が必要となりやすいです。新規取引先の場合、取引先の信用情報や会社概要が分かる資料、過去の類似取引の実績証明などが求められます。

ファクタリング会社によって異なる書類

ファクタリングサービスを提供する会社は大手から中小まで様々で、各社によって審査基準や必要書類も異なります。会社選びの際は手数料だけでなく、申込に必要な書類の多さも考慮する必要があります。

大手ファクタリング会社の場合

大手ファクタリング会社は審査基準が厳格で、必要書類も多い傾向があります。反面、手数料率は比較的低めに設定されているケースが多く、大型案件の取扱いにも強みを持っています。

大手では基本書類に加えて、法人の場合は決算書(直近3期分)、納税証明書、印鑑証明書、商業登記簿謄本などが必須となることが一般的です。個人事業主の場合も確定申告書や開業届、住民票などが求められます。

中小ファクタリング会社の場合

中小ファクタリング会社は大手と比較して審査基準がやや柔軟で、必要書類も少ない傾向があります。特にオンライン特化型のファクタリング会社では、最小限の書類で迅速な審査を実現しています。

多くの中小ファクタリング会社では、請求書、通帳のコピー、身分証明書の3点を基本書類としています。法人の場合でも商業登記簿謄本や印鑑証明書が不要なケースもあり、債権譲渡登記も行わない「留保方式」を採用していることが多いです。

迅速に契約するためのポイント

迅速に契約するためのポイント

ファクタリングの大きなメリットの一つは資金調達までの速さです。審査から契約、入金までスムーズに進めるためには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。書類準備や提出方法に工夫を凝らすことで、最短即日での資金調達も可能になります。

事前準備すべき書類

ファクタリング契約を迅速に進めるためには、事前に書類を準備しておくことが重要です。特に取得に時間がかかる書類は早めに用意しておきましょう。

まず必ず必要となる請求書、通帳のコピー、身分証明書の3点は常に最新のものを用意しておくことが基本です。法人の場合は商業登記簿謄本や印鑑証明書も事前に取得しておくとよいでしょう。これらは法務局で発行されるため、取得に数日かかる場合もあります。

また売掛債権の補完書類として納品書、発注書、契約書なども揃えておくことをお勧めします。売掛債権の実在性を示す証拠は多いほど審査がスムーズに進みます。通帳コピーも直近数ヶ月分を用意し、取引先からの入金履歴が明確に確認できるようにしておくことが重要です。申込時に書類不足で審査が止まることを避けるため、ファクタリング会社に事前に必要書類を確認しておくことも有効です。

書類提出時の注意点

書類を提出する際にもいくつかの注意点があります。これらに気をつけることで審査がスムーズに進み、入金までの時間を短縮できます。

まず提出する書類はすべて最新のものを用意します。特に商業登記簿謄本や印鑑証明書は発行から3ヶ月以内のものが求められることが一般的です。また身分証明書は有効期限内のものを用意しましょう。

書類の不備や記載漏れがあると再提出を求められて時間がかかります。特に請求書には金額、支払期日、取引内容などの重要情報が明記されているか確認します。通帳のコピーも取引先からの入金履歴が確認できるページを漏れなく用意します。

業種別に追加で必要となる書類

業種別に追加で必要となる書類

ファクタリングは業種によって取引特性が異なるため、業種別に追加で必要となる書類があります。ここでは建設業、IT・サービス業、製造業の特徴と必要書類について解説します。

建設業の場合

建設業は工期が長く、出来高払いや検収後払いが一般的なため、資金繰りの課題を抱えやすい業種です。建設業特有の必要書類としては以下のものが挙げられます。

まず建設業許可証の写しが必要となるケースがあります。これは建設業を営む資格があることを証明するものです。また工事請負契約書も重要な書類で、元請けとの正式な契約関係を証明します。

工事の進捗状況を示す書類も重視されます。出来高報告書や施工写真、工程表などです。特に出来高払いの場合、現在の進捗率と請求金額の整合性を確認するために、これらの書類が重要となります。また元請けが発行した検収書や引渡完了書も、工事完了の証明として有効です。さらに下請企業の場合、元請けとの関係性を証明する基本契約書の提出が重要視されることも多いです。

IT・サービス業の場合

IT・サービス業では、成果物やサービス提供の証明が重要となります。物理的な商品と異なり、サービスの提供実態を証明する書類が求められます。

サービス業特有の書類としては、業務委託契約書が挙げられます。これはサービス内容や報酬額、支払条件などを定めた重要な書類です。また作業報告書や議事録なども、サービス提供の証拠として有効です。

ウェブサイト制作やシステム開発などの場合は、成果物のスクリーンショットや納品書、検収書なども重要な証拠となります。また継続的なサービス提供の場合は、過去の取引履歴や入金実績が特に重視されるため、通帳の入出金履歴は必ず用意しましょう。

製造業の場合

製造業では、製品の納品や検収に関する書類が重要となります。実際に製品が納品され、取引先に受け入れられたことを証明する書類が求められます。

製造業特有の書類としては、納品書や検収書が特に重要です。これらは製品が確実に納品され、取引先に受け入れられたことを証明します。また製造指示書や発注書も、取引の実在性を証明する重要な書類です。

大規模な製造案件や特注品の場合は、製品仕様書や図面なども求められることがあります。また品質検査報告書や試験成績書なども必要となるケースもあります。長期的な取引関係がある場合は基本契約書も重要な証明書類となります。

まとめ

ファクタリングを利用する際は、請求書だけでなく複数の書類が必要となるケースがほとんどです。法人と個人事業主では必要書類が異なり、法人の場合は商業登記簿謄本や印鑑証明書、個人事業主の場合は開業届や確定申告書が求められます。また売掛債権の証明には請求書だけでなく、納品書や発注書、通帳の入金履歴なども重要です。

ファクタリング会社によっても必要書類は異なり、大手は厳格で書類が多い傾向がある一方、中小は柔軟で迅速な審査が可能なケースが多いです。適切な書類を事前に準備し、不備なく提出することで審査はスムーズに進み、最短即日での資金調達も可能になります。

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