地球温暖化や海洋汚染、森林破壊など、私たちの環境は日々悪化の一途をたどっています。あなたも「何か環境のために行動したい」と思いながらも、具体的に何をすればいいのか迷っていませんか?
実は、私たち一人ひとりの小さな行動が、大きな環境保全につながります。省エネやごみの削減、公共交通機関の利用など、日常生活の中でできる取り組みはたくさんあるのです。
このコラムでは、世界や日本で行われている環境保全活動と、あなたにもすぐ始められる具体的な方法をご紹介します。読み終えた後には、環境保全への第一歩を踏み出す勇気と知識が得られるでしょう。地球の未来のために、今日から一緒に行動を始めてみませんか?
環境保全とは

環境保全とは、地球の自然環境や生態系を守り、持続可能な状態を維持するための取り組みのことです。現代社会では、経済発展や便利さを追求するあまり、地球温暖化や海洋汚染、森林破壊など様々な環境問題が発生しています。
これらの問題を解決し、未来の世代に美しい環境を引き継ぐために、国際的な取り決めから個人の日常生活まで、あらゆるレベルでの環境保全活動が求められています。今一度、私たちの行動を見直し、できることから始めてみませんか。
環境保全活動の本質と目的
環境保全活動とは、人間の活動による環境への負荷を低減し、地球温暖化や生物多様性の損失、公害の発生などを抑制する取り組みのこと。
その本質は、単に自然を守るだけでなく、将来的に人を含めた地球全体の生き物が住み続けられる場所であり続けるために、時には人間の手を加えつつも環境を守ることにあります。
環境保全の目的には、自然資源の持続可能な利用や再生、生物多様性の保全、大気や水の浄化、エネルギーの効率的な利用などが含まれます。これらの活動により、地球上の生態系のバランスを保ち、私たちと自然が共存できる未来を築くことができるのです。
環境保護活動と再生可能エネルギー

地球環境を守るために行われている取り組みの中でも、再生可能エネルギーの活用は持続可能な社会を実現するための重要な手段です。
従来の化石燃料に依存したエネルギー供給は、大気汚染や温室効果ガスの排出を引き起こし、地球温暖化の主要な要因となっています。そのため、再生可能エネルギーを積極的に導入することは、気候変動対策の観点からも必要不可欠です。
具体的には、太陽光発電や風力発電、水力発電、バイオマス発電などがあり、これらは持続可能なエネルギー供給を可能にし、環境負荷を大幅に削減します。また、個人レベルでも、再生可能エネルギーを提供する電力会社への切り替えや、省エネ機器の導入を通じて、環境を守るために行われている取り組みに貢献できます。
世界的な環境保全の取り組み

環境問題は一国だけの問題ではなく、地球規模で取り組むべき課題です。世界各国は様々な国際条約や協定を通じて連携し、下記のような、地球環境を守るための活動を推進しています。
- 気候変動対策
- 持続可能な成長戦略の推進
- オゾン層保護のための取り組み
- 生物多様性の保護と重要性
これらの国際的な枠組みは、私たちの生活環境を守り、将来世代に美しい地球を引き継ぐための重要な基盤となっています。
気候変動対策
気候変動への対策として、1994年に採択された「気候変動枠組条約」が国際的な取り組みの基盤となっています。この条約は地球温暖化や気候変動の主要因である温室効果ガスの濃度安定化を目的としており、加盟国は自国の排出量を監視し削減目標を設定することが求められています。
毎年開催される締約国会議(COP)では、2023年末にドバイで開催されたCOP28を含め、パリ協定の目標達成に向けた議論が継続的に行われています。これらの国際的な枠組みを通じて、各国が協力して気候変動の脅威に対応する体制が構築されています。
持続可能な成長戦略の推進
持続可能な成長戦略として注目されているのが「グリーン成長戦略」です。この戦略は経済成長を追求しながらも環境への負荷を最小限に抑える「持続可能な経済発展」を実現するためのものです。
従来は環境対策がコストや経済成長の阻害要因と考えられてきましたが、発想を転換し、積極的な環境対策によって産業構造や社会経済の変革を促し、新たな成長につなげる考え方です。
例えば日本では2050年のカーボンニュートラル実現に向け、エネルギー関連産業など成長が期待される14分野に目標を設定し、環境と経済の両立を目指しています。
オゾン層保護のための取り組み
オゾン層保護のための国際的な取り組みとして、1985年に採択された「オゾン層保護のためのウィーン条約」があります。この条約は、地球を覆う大気層の一つであるオゾン層の破壊防止を目的としています。
1982年に日本の南極観測隊が発見し1984年に報告した「オゾンホール」現象を受けて制定されました。条約では、以下に関する内容が締約国に対し求められています。
- オゾン層の変化による悪影響から人や環境を保護する措置の実施
- 研究や観測への協力
- 法律や科学技術に関する情報交換
これを受けて1987年には「モントリオール議定書」が採択され、フロンなどオゾン層破壊物質の規制が強化された結果、現在ではオゾンホールは回復傾向にあります。
生物多様性の保護と重要性
生物多様性の保護は、1992年の「リオ地球サミット」で採択された「生物多様性条約」を中心に進められています。この条約は、以下の内容を目標としています。
- 生物多様性の保全
- 生物資源の持続可能な利用
- 遺伝資源の利用から生じる利益の公正な配分
私たちは食品や医薬品など多くの恩恵を生物から受けていますが、近年の生態系破壊により生物減少が危惧されています。日本では2023年に「生物多様性国家戦略2023-2030」が策定され、「ネイチャーポジティブ」(生物多様性の損失を止め回復軌道に乗せること)の実現に向けた取り組みが進められています。
生物多様性は私たちの生活基盤を支える重要な要素であり、その保全は未来への責任でもあるのです。
個人でできる環境保全の取り組み

環境保全は政府や企業だけの問題ではなく、私たち一人ひとりが日常生活の中でできることがたくさんあります。以下のような小さな行動の積み重ねが、大きな変化を生み出すのです。
- ゴミの削減や分別
- 自然環境に配慮した製品選び
- 省エネルギーの実践
- 再生可能エネルギーの選択
これらの行動は地球環境を守るだけでなく、結果的に私たちの生活の質の向上や家計の節約にもつながります。私たちにできる環境保全の取り組みについて見ていきましょう。
ゴミの削減や分別
私たちは日々の生活で多くのゴミを排出していますが、いくつかの工夫でゴミ量を大幅に減らすことができます。まず「食品ロスを減らす」ことが重要。買い物リストを作成し必要な分だけを購入する、食品の賞味期限や保存方法に注意して無駄なく使い切りましょう。
次に「リサイクルと分別」を適切に行い、プラスチックや紙、缶などを自治体のルールに従って分別することで廃棄物を削減できます。また、「コンポスト」を利用して野菜の皮や果物のかすを堆肥化したり、「プラスチックの使用を減らす」ためにエコバッグやマイボトル、再利用可能なストローを活用したりすることも効果的です。
こうした日常的な取り組みがゴミ削減につながります。
自然環境に配慮した製品選び
自然環境に配慮した生活を送るためには、買い物の際に環境に配慮した製品を選ぶことが大切です。例えば「海のエコラベル」であるMSC認証(持続可能な漁業)やASC認証(環境に配慮した養殖業)がついた水産物を選べば、日々の買い物から海洋環境保全に貢献できます。
また、「FSC認証」のついた木製品は、持続可能に管理された森林から生産されていることを示しています。さらに、プラスチック製品の使用を控え、自然環境にプラスチックが流出しないよう心がけることも重要です。
地域の清掃活動や固有生物の保護活動などのボランティアに参加することで、より直接的に自然環境保全に貢献することもできるでしょう。
省エネルギーの実践
省エネは環境保全の中でも特に取り組みやすく、効果も高い活動です。照明をLEDに替えると、同じ明るさを確保しながら消費電力を大幅に削減できます。寿命も長いためランニングコストも抑えられます。
省エネ型家電への買い替えも効果的で、同じように使用しても消費電力が削減されます。また、空調の温度設定を見直す(夏は冷房を少し高め、冬は暖房を少し低めに)ことや、使用範囲を限定することも省エネにつながります。待機電力の削減も忘れずに行いましょう。
使用しない家電はコンセントから抜くだけで、無駄な電力消費を抑えることができます。これらの取り組みは温室効果ガスの排出削減に直接つながります。
再生可能エネルギーの選択
再生可能エネルギーとは、石油や石炭などの有限な化石燃料と異なり、太陽光や風力、バイオマス燃料などをエネルギー源とするものです。これらは枯渇しない資源であり、温室効果ガスの排出がない(または増加させない)という大きな特徴があります。
個人レベルでは、再生可能エネルギーを提供する電力会社と契約することで、環境負荷を抑えた電力を使用することが可能です。また、家庭に太陽光発電システムを導入することで、電気代の節約にもつながります。こうした取り組みを積極的に進めることで、未来の地球環境を守ることができます。
環境保全とSDGsの関係

環境を守るために行われている取り組みの中でも、SDGs(持続可能な開発目標)は重要な指針となっています。SDGsは、2030年までに持続可能な社会を実現するために国際連合が掲げた17の目標であり、そのうち「気候変動対策」「海洋資源の保全」「陸上生態系の保護」などが環境保全と密接に関わっています。
各国政府や企業は、SDGsに基づいた環境対策を積極的に推進しており、具体的には再生可能エネルギーの導入や森林保全、生物多様性の維持などの活動が進められています。また、個人としてもエコ製品の選択や省エネの実践など、SDGs達成に貢献できる行動は数多くあります。
環境を守るために行われている取り組みとSDGsの関係を理解し、日常生活の中で実践することが、より良い未来を築くための第一歩となります。