生ごみ処理機は、家庭から出る生ごみの減量化や臭気対策に役立つ便利な家電製品として普及してきました。しかし、使用年数を重ねて買い替えや処分を検討する際、どのような方法で処分すべきか迷う方も多いのではないでしょうか。
実は生ごみ処理機の処分方法は、機種の種類や地域によって大きく異なります。また、小型家電リサイクル法の対象となる可能性もあり、適切な処分方法を選択することが重要です。
この記事では、生ごみ処理機の種類別の処分方法から、自治体による回収サービスの利用方法、専門業者への依頼時の注意点まで、具体的に解説していきます。これから処分を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
家庭用生ごみ処理機の種類と処分前の確認事項

生ごみ処理機の処分方法は、機種の種類や特徴によって大きく異なります。主な処理機の種類としては、微生物の力で分解するバイオ式、熱風で乾燥させる乾燥式、そして電気を使用する電気式の3タイプが存在します。各タイプによって内部構造や使用部品が異なるため、処分時には適切な分別と準備が必要です。
安全かつ適切な廃棄をするには、取扱説明書を確認し、必要に応じて内部に残った処理物の除去や清掃を行うとよいでしょう。また、機器の状態によっては買取や下取りの対象となる可能性もあるため、処分前に複数の選択肢を比較検討することをおすすめします。
バイオ式生ごみ処理機の特徴と廃棄時の注意点
バイオ式生ごみ処理機は、微生物を含む専用のバイオチップを使用して生ごみを分解する方式です。
処分時には、まず槽内のバイオチップを取り出し、可燃ごみとして処理します。チップ内の微生物は自然由来のため、土壌に悪影響を与えることはありません。内部には発酵時の臭気が染み込んでいる可能性があるため、換気をしながら清掃しましょう。
処理槽内部の金属部分は、水分や塩分による腐食が発生している可能性があるため、安全性を考慮して取り扱います。また、長期使用による基板やモーターの劣化も考えられるため、処分前に動作確認も必要です。
乾燥式生ごみ処理機の構造と分別方法
乾燥式生ごみ処理機は、高温の熱風でごみを乾燥させる方式で、主にヒーター、送風機、処理槽、制御基板で構成されています。
処分時には、まずヒーター周辺に付着した炭化物や残渣を丁寧に除去する必要があります。送風経路に詰まった乾燥物は、機器の故障や事故の原因となる可能性があるため、完全に取り除きましょう。
本体は金属部分とプラスチック部分に分別し、それぞれリサイクルに回すことができます。基板類は有害物質を含む可能性があるため、分別して処理します。また、脱臭フィルターや活性炭は個別に取り外し、市町村の分別ルールに従って処理しましょう。
電気式生ごみ処理機の取り扱いと処分
電気式生ごみ処理機の処分には、安全面での十分な配慮が必要です。
まず電源プラグをコンセントから抜き、本体が完全に冷えてから作業を開始します。内部には高電圧部品や精密な電子機器が組み込まれているため、分解は避け、専門業者による処理を依頼するようにしましょう。
また、オイルや潤滑剤などの液体が使用されている可能性があるため、漏れ出しに注意が必要です。
電源コードは本体から切り離して別途処分し、操作パネルや表示部分に使用されている電子部品を適切に分別しましょう。製品の状態によっては有害物質が含まれている可能性もあるため、自治体のルールに従って処分します。
生ごみ処理機の正しい処分方法を解説

生ごみ処理機の処分には、大きく分けて下記の3つの方法があります。
- 自治体による粗大ごみ収集サービス
- 家電リサイクル法と処理機の関係性
- メーカーによる引き取りサービス
いずれの方法を選ぶ場合も、事前に内部の清掃や付属品の確認など、適切な準備が必要です。それではそれぞれについてみていきましょう。
自治体による粗大ごみ収集サービス
自治体による粗大ごみ収集は、電話やインターネットで簡単に申し込みができ、指定された日時に収集場所へ出すだけで処分が完了します。
処理費用は地域によって異なりますが、一般的に500円から1,000円程度で済みます。ただし、収集までに1週間程度の期間を要することが多く、急な処分には対応できない場合があります。また、自治体によっては事前にコンビニエンスストアなどで処理券を購入する必要があります。
大型の機種や重量のある機種は、2人以上での搬出が必要となる場合もあるため、事前に確認しましょう。清掃状態や付属品の有無についても、自治体のルールに従う必要があります。
家電リサイクル法と処理機の関係性
生ごみ処理機は小型家電リサイクル法の対象品目に含まれており、貴重な金属資源の回収・再利用が期待されています。
回収方法は自治体によって異なり、公共施設や小売店に設置された回収ボックスへの投入、資源回収との同時収集、イベント時の特別回収などがあります。ただし、回収ボックスには投入口のサイズ制限があるため、大型の機種は別途処分方法を検討する必要があります。
また、一部の自治体では清掃工場での選別回収も行っており、不燃ごみとして出された機器から有用な部品を回収しています。
メーカーによる引き取りサービス
メーカーによる引き取りサービスは、製品を熟知した専門家による適切な処分が期待できます。
サービスの利用には、まずメーカーのカスタマーサービスセンターに連絡し、対象製品であるかどうかを確認します。引き取り料金は一般的に5,000円から15,000円程度で、出張費や運搬費が別途必要になる場合もあります。
新製品への買い替え時には、無料または割引価格で引き取りを行うキャンペーンを実施しているケースもあるため、タイミングを見計らうことで費用を抑えられる可能性があります。
専門業者への処分依頼と費用の目安

生ごみ処理機の処分を専門業者に依頼する場合、主にリサイクル業者と不用品回収業者の2つの選択肢があります。リサイクル業者は環境への配慮を重視し、部品の再利用や素材の再資源化に力を入れています。一方、不用品回収業者は迅速な対応と手間いらずの処分がメリットです。
どちらの場合でも、信頼できる業者を選ぶことで、安全かつ適切な処分を行うことができます。
リサイクル業者による回収サービス
リサイクル業者は、生ごみ処理機を素材ごとに分解し、可能な限り再資源化を図ります。
金属類は溶解して新たな製品の原料となり、プラスチック部品も粉砕して再利用されます。また、基板類に含まれるレアメタルの回収も行われ、資源の有効活用に貢献しています。回収時には機器の状態を確認し、使用可能な部品は再利用市場に流通させる場合もあります。
一部の業者では処分証明書の発行にも対応しており、法人からの依頼にも安心して任せることができます。環境への配慮と適切な処理を重視する場合は、リサイクル業者への依頼がおすすめです。
不用品回収業者の選び方と見積もりの確認
不用品回収業者を選ぶ際は、まず産業廃棄物収集運搬許可証の有無を確認しましょう。無許可の業者による不適切な処分は、環境問題や法的トラブルの原因となる可能性があります。
必ず事前に見積もりを出してもらい、基本料金、作業料金、運搬料金、処分料金などの内訳を必ず確認しましょう。その際、階段使用料や地域別の追加料金などの条件も確認しておくことが大切です。
業者の対応や服装、車両の状態なども、信頼性を判断する重要な要素となります。口コミサイトや評価サイトでの評判も参考にしながら、慎重に選定することをおすすめします。
処分費用の相場と料金体系について
生ごみ処理機の処分費用は、機器の大きさや重量、処分方法によって異なります。単体での処分の場合、基本料金として3,000円から5,000円、これに運搬料金や作業料金が加算され、合計で5,000円から15,000円程度となるのが一般的です。複数の不用品をまとめて処分する場合は、セット割引で1点あたりの処分費用を抑えられる可能性があります。
地域や時期によって料金が変動することもあるため、複数の業者から見積もりを取得して比較することをおすすめします。追加料金が発生する条件も事前に確認し、予期せぬ費用負担を避けることが重要です。
生ごみ処理機の買取

使用済みの生ごみ処理機でも、状態が良好であれば買取や下取りの対象となる可能性があります。製造から5年以内の機種で、正常に動作し、著しい損傷や臭気がない場合は、買い取り・下取りを検討してみると良いでしょう。
中古品買取の対象となる条件と基準
中古品買取の対象となるには、大前提として『すべての機能が正常に動作すること』ですが、それ以外にもいくつかの条件を満たす必要があります。
- 製造から5年以内
- メーカーの保証書や取扱説明書が揃っている
- 著しい傷や破損がない
- 内部の清掃が行き届いている
付属品は揃っているほど高額査定につながり、専用のバイオチップや脱臭フィルターなども判断材料となります。
オンライン買取サービスの活用術
オンライン買取サービスは、スマートフォンやパソコンから24時間いつでも査定依頼ができる便利なシステムです。
利用する際は、まず製品の型番や製造年月、使用状態などの基本情報を入力します。次に、外観や内部の状態が分かる写真を複数枚撮影してアップロードします。写真は明るい場所で撮影し、傷や汚れなどが分かるように撮影します。
査定結果は通常24時間以内に提示され、承諾すれば業者が自宅まで集荷に来てくれます。ただし、実物確認時に状態が写真と異なる場合は、査定価格が変更される可能性もあるので、査定を出す際は可能な限りハッキリ見やすい画像を提出することを心がけましょう。
持続可能な廃棄物処理を目指して

持続可能な社会を実現するためには、生ごみ処理機の選択から処分まで、環境に配慮した取り組みが重要です。
ここでは、とくに下記の3つについて説明します。
- 次回購入時の検討事項とアドバイス
- 長期使用のためのメンテナンス方法
- 環境負荷低減に向けた取り組みのポイント
それでは、みていきましょう。
次回購入時の検討事項とアドバイス
生ごみ処理機を新しく購入する際は、長期使用を前提とした選択が重要です。まず家族構成や、生活スタイルに合わせた適切な処理容量を見極めましょう。処理容量が大きすぎると無駄な電力を消費し、小さすぎると処理が追いつかない可能性があります。
事前に、下記ポイントも確認をしておくと良いでしょう。
- 設置場所の確認とコンセントの有無
- 換気条件とその頻度
- 部品の交換のしやすさと、入手のしやすさ
- 掃除、手入れのしやすさ
- 修理サービスの充実度
- 製品の省エネ性能や静音性、安全機能
長期使用のためのメンテナンス方法
生ごみ処理機を長く使い続けるためには、適切なメンテナンスが不可欠です。処理槽内は使用後に必ず清掃し、水分や残渣を残さないようにします。
乾燥式の場合は、ヒーター周りや送風口の清掃を定期的に行い、熱効率の低下を防ぎます。
バイオ式では、微生物の活性を維持するため、適切な温度管理と水分バランスの調整が重要です。消耗品であるフィルターやバイオチップは、メーカー推奨の交換時期を守りましょう。
異常音や異臭、処理能力の低下などの異変を感じたら、すぐにメーカーに相談することで、大きな故障を未然に防ぐことができます。
環境負荷低減に向けた取り組みのポイント
環境負荷を低減するためには、日々の使用方法から見直す必要があります。
生ごみは必ず水切りを行い、適量を投入することで、処理効率を高め、電力消費を抑えることができます。乾燥式の場合は、夜間電力を利用するなど、電力使用のピークを避けることも効果的です。
処理後の残渣物は、可能な限り堆肥として活用し、資源の循環利用を心がけましょう。また、メンテナンス時に使用する洗剤は環境に優しいものを選び、交換した部品も適切に分別してリサイクルに回すことが重要です。
製品の修理や部品交換を通じて、できるだけ長く使い続けることで、廃棄物の発生を最小限に抑えることができます。
まとめ
生ごみ処理機の処分方法には、自治体による粗大ごみ収集、専門業者への依頼、買取・下取りの活用など、複数の選択肢があります。機器の種類や状態、地域のルールなどを総合的に判断して、処分方法を決定しましょう。
処分費用は方法によって大きく異なり、自治体の粗大ごみ収集では500円から1,000円程度、専門業者への依頼では5,000円から15,000円程度が一般的な相場です。また、状態の良い機器は買取や下取りの対象となる可能性もあり、新製品への買い替え時には費用を抑えられる場合もあります。
適切に処分するには、内部の清掃やバイオチップの除去など、事前の準備が欠かせません。
分別とリサイクルを意識することで、環境負荷の低減にも貢献できます。また処分後の次回購入時には、長期使用を前提とした機種選択と、適切なメンテナンスを心がけると良いでしょう。環境に配慮した取り組みを実践することが、循環型社会の実現への第一歩となります。