買取ファクタリングとは|売掛債権を現金化

一万円札

資金繰りに追われながら、入金までの売掛金をどうにかしたいと感じたことはありませんか?とくに中小企業やフリーランスにとって、取引先からの支払い待ちは大きな負担です。そんな悩みを解決する手段として注目されているのが「買取ファクタリング」です。

本記事では、買取ファクタリングの仕組みやメリット・デメリット、保証型との違いまで詳しく解説。記事を読むことで、現金化の選択肢が広がり、自社に合った資金調達方法を見つけられるようになります。

目次

ファクタリングの買取型と保証型の違い

ファクトリングと書かれたプレート

ファクタリングとは、企業が保有する売掛債権をファクタリング会社に売却して資金を調達する仕組みです。このサービスは主に「買取型」と「保証型」の2つに分類され、それぞれ資金調達の目的やリスクへの対応方法が異なります。

買取ファクタリングとは、売掛債権そのものをファクタリング会社に譲渡し、代金を前倒しで受け取ることで資金を得る方法です。取引先からの入金を待たずに、債権額面から手数料を差し引いた金額が現金として支払われるため、即時の資金確保が可能となります。この方法は、キャッシュフロー改善を目的とした中小企業やフリーランスに広く利用されています。

一方で保証型ファクタリングは、売掛債権が未回収となるリスクに備える保険的なサービスです。ファクタリング会社が取引先の支払いを保証することで、万が一倒産などで債権が回収できなくなった場合でも、あらかじめ定めた保証額の範囲で支払いが受けられます。この仕組みは資金調達よりも「貸倒リスクの回避」に重きを置いたサービスです。

両者の大きな違いは、「現金化を目的とするか」「リスクヘッジを目的とするか」にあります。買取ファクタリングは今すぐに現金が必要な場面で役立ち、保証型は将来の不確実性に備えたリスクマネジメント手段として活用されます。

また、契約内容や手数料体系も異なります。買取型では手数料の相場が2者間で10〜20%、3者間で1〜9%前後とされ、売掛債権の額面から控除されて支払われる仕組みです。一方の保証型では、保証料を支払うことで契約が成立しますが、現金は即座に得られるわけではありません。

このように、買取ファクタリングと保証型ファクタリングは目的や活用場面が大きく異なります。どちらが自社に合っているかを見極め、状況に応じて選択することが重要です。

ファクタリングの買取型の仕組み

whatと書かれたパソコン画面

ファクタリングの買取型とは、企業が保有する売掛債権をファクタリング会社に売却し、その対価として資金を受け取る仕組みです。これは、債権の名義を譲渡することで、実際の入金を待たずに現金化を実現できるサービスです。とくに資金繰りに課題を抱える中小企業やスタートアップ企業、フリーランスなどが利用するケースが多く、スピーディーに資金を得たいというニーズに応えています。

ファクタリングの中でも、買取型は「即時の現金化」という目的に特化しており、売掛金の回収期日よりも早く資金を手にすることが可能です。そのため、仕入れ資金や人件費の支払いなど、目の前の資金需要に柔軟に対応できる点が強みとなっています。

一方で、債権の売却という性質上、取引相手(売掛先)に通知が必要な「3者間契約」と、通知を行わずに利用企業とファクタリング会社だけで契約を結ぶ「2者間契約」に分かれます。3者間のほうが手数料は低く抑えられる傾向がありますが、取引先への通知を避けたい企業は、やや高い手数料を払ってでも2者間を選ぶこともあります。

買取ファクタリングの仕組みを理解するには、まずファクタリングそのものの基本を押さえることが不可欠です。次に、そのうえで買取型ならではの考え方やルールを見ていきましょう。

ファクタリングの基本

ファクタリングとは、企業が保有する売掛金を資産として扱い、それをファクタリング会社に譲渡することで資金化する金融サービスです。この仕組みは融資ではないため、借入金としての負債計上が不要であり、バランスシートへの影響を抑えながら資金を調達できるという点で注目されています。

売掛債権とは、取引先に対して商品やサービスを提供したあとに発生する「代金を支払ってもらう権利」のことです。この債権を現金に換えることで、資金が手元に入るタイミングを早め、資金繰りの安定につなげることができます。

また、ファクタリングは企業側ではなく、売掛先の信用力が審査の中心となるため、赤字決算や税金未納といった状況でも利用できる可能性がある点も魅力です。そのため、銀行融資に頼れない状況でも、資金を得る手段として活用されています。

ファクタリングの買取型の基本原則

買取ファクタリングの基本原則は、「債権の売却によって資金を得る」という点にあります。ここで重要なのは、ファクタリング会社が債権を「買い取る」ことで、その後の回収リスクも引き受けるケースがあるということです。

具体的には、「ノンリコース契約(償還請求権なし)」であれば、売掛先からの入金がなかった場合でも、利用企業に返済義務が発生しません。つまり、売却した時点で資金調達が完結することになり、倒産リスクや未回収リスクから解放されます。

一方で、「リコース契約(償還請求権あり)」の場合は、売掛先の支払いが滞った際には、利用企業がその分をファクタリング会社に返還しなければなりません。この契約形態では、あくまで“資金繰り支援”としての側面が強くなり、リスクヘッジにはならない点に注意が必要です。

また、買取ファクタリングでは、債権額面のすべてが支払われるわけではなく、「手数料」や「掛け目(評価率)」が差し引かれた金額が入金されます。手数料は契約形態や売掛先の信用状況によって変動しますが、通常は数%から十数%が相場です。

こうした基本ルールを理解したうえで、買取ファクタリングを検討すれば、資金調達におけるリスクとメリットのバランスを適切に見極めることができるでしょう。

ファクタリングの保証型の仕組み

保証を意味するマーク

ファクタリングには「買取型」と「保証型」という2つの主要な形態がありますが、ここで紹介する保証型ファクタリングは、売掛債権を現金化するための手段ではなく、「債権が回収不能になった場合のリスクを軽減する」ことを目的としたサービスです。買取ファクタリングが即時の資金調達に強みを持つ一方、保証型は将来の信用リスクに備えるという点で性質が大きく異なります。

保証型ファクタリングでは、企業が売掛債権をファクタリング会社に譲渡するのではなく、取引先が支払いを履行しなかった場合に備えて「保証契約」を結びます。これにより、万が一売掛先が倒産や長期延滞を起こしても、一定の保証範囲内でファクタリング会社が損失をカバーする仕組みです。

このタイプのファクタリングは、売掛金が高額になる取引や、継続的な取引先との関係性にリスクを感じている企業によく利用されています。また、輸出取引や海外企業との契約など、法的回収が難しい相手に対する債権を保護する目的でも活用されることがあります。

保証型では、売掛先の信用調査が必須であり、その審査を通過した場合に限り、契約が成立します。保証限度額や保証対象となる期間などは事前に取り決められており、万が一の際には保証金が支払われる仕組みになっています。ただし、すべてのリスクが無条件で補償されるわけではなく、支払い遅延の原因や取引履歴によっては、補償対象外となることもあるため、契約条件の詳細確認が重要です。

買取ファクタリングが「今ある売掛金を使って資金を得る」方法であるのに対し、保証型ファクタリングは「将来の未回収リスクを回避するための保険的サービス」であるという違いを理解しておくことが、適切な使い分けにつながります。

ファクタリングの買取型のメリット

買取ファクタリングは、売掛債権をファクタリング会社に譲渡することで、早期に現金化できる仕組みです。手元資金の確保が急務となる場面で、銀行融資などに比べてスピード感のある対応が可能であり、資金繰りに悩む企業にとって非常に有効な手段です。ここでは、買取ファクタリングを利用することで得られる具体的なメリットについて解説します。

支払期日より早い現金化が可能

買取ファクタリングの大きな魅力は、売掛債権の支払期日を待たずに現金を手に入れられる点にあります。通常、取引先からの入金までに30日から60日といったタイムラグがあるなか、その間の資金不足を補うことは簡単ではありません。とくに中小企業や個人事業主にとっては、期日までの資金繰りが経営を左右する重要な要素となります。

そこで、買取ファクタリングを活用すれば、売掛金の請求書をファクタリング会社に提示することで、数日〜最短即日で資金化が可能になります。このスピード感が、仕入れや人件費、家賃の支払いなど、運転資金の確保に大きく役立ちます。

取引先の信用力を活用した資金調達

買取ファクタリングの審査では、自社の信用状況よりも「売掛先(取引先)の信用力」が重視されます。つまり、たとえ自社が赤字決算だったり、過去に税金未納があったとしても、取引先が安定している企業であれば、資金調達のチャンスは十分にあります。

これは、金融機関の融資審査とは大きく異なる考え方であり、「取引先との信頼関係」そのものが資金調達力に直結するという点が特徴です。とくに、新規事業でまだ実績が少ない企業や、銀行からの借り入れが難しい状況にある事業者にとっては、この柔軟な審査基準が大きな助けとなります。

借入金に計上されない利点

買取ファクタリングは、借り入れではなく「債権の売却」という取引であるため、会計上の扱いが異なります。借入金のように負債として計上されることがないため、バランスシートに悪影響を与えることなく資金を得ることができます。

この点は、今後の融資申請や財務評価にも好影響をもたらす可能性があり、将来的な資金調達を見据えた企業にとっては非常に大きなメリットです。また、自己資本比率を維持しながら現金を確保できるため、株主や出資者への信頼性も損なわずに済みます。

ファクタリングの買取型における注意点

アドバイスをする若い女性医師

買取ファクタリングは、スピーディーに資金調達ができる便利な仕組みですが、いくつかの注意点も存在します。利用の際にはその特性や契約内容をしっかり理解しておかないと、想定外のコストや手続きの煩雑さに戸惑うこともあります。ここでは、買取ファクタリングを利用するうえで押さえておきたい代表的な注意点について解説します。

売掛債権を超える金額は現金化不可

買取ファクタリングでは、あくまで「売掛債権の範囲内」での現金化しかできません。つまり、1,000万円の売掛金があれば、その金額を上限としてしか資金調達はできず、それ以上の金額を得ることはできません。

この仕組みは融資とは異なり、「資産の売却」による資金調達であるため、事業計画や将来の売上見込みを担保に金額を上乗せするような調達はできないのが原則です。売掛金が少ない月や季節変動がある業種では、調達できる金額も不安定になる可能性があるため、継続的な利用には注意が必要です。

2社間ファクタリングの手数料が高い

取引先にファクタリングの利用を知らせずに資金化できる「2社間ファクタリング」は、機密性の高さから人気がありますが、そのぶん手数料が割高になる傾向があります。これは、ファクタリング会社にとって債権の回収リスクが大きくなるため、その分を手数料でカバーする必要があるからです。

とくに、取引先の信用力が高くない場合や、過去の支払遅延履歴がある場合には、リスクプレミアムが加算され、手数料が20%に達するケースもあります。資金調達コストが利益を圧迫しないか、あらかじめ確認しておくことが大切です。

3社間ファクタリングには時間がかかる

一方で、3社間ファクタリングは取引先に債権譲渡の通知を行い、回収もファクタリング会社が直接請け負う契約形態です。この方法は手数料が抑えられるというメリットがありますが、売掛先の同意が必要なため、契約完了までに時間を要するのが難点です。

とくに売掛先が大企業である場合、社内承認プロセスに時間がかかることもあり、即時の資金調達には向いていないケースもあります。スピードを優先したいときには、2社間との比較検討が必要です。

以上のように、買取ファクタリングには明確なメリットがある一方で、利用の際にはコスト面や契約手続きに関する注意点を十分に把握しておくことが重要です。目的や資金ニーズに合わせて、最適な形で活用するよう心がけましょう。

ファクタリングの保証型のメリット

プラスマークの積み木

保証型ファクタリングは、売掛先からの支払いが遅延・不履行となった場合に、あらかじめ定められた範囲内でファクタリング会社がその損失を補填してくれるサービスです。資金の即時調達を目的とした買取ファクタリングとは異なり、信用リスクを管理・回避するという側面が強く、取引先の経営状況に不安を抱える企業にとって心強い選択肢となります。

取引先の倒産リスクに対処可能

保証型ファクタリングのもっとも大きなメリットは、売掛先の倒産リスクに備えられる点です。売掛先が突然支払い不能となった場合、本来であれば売掛金は未回収のままとなり、企業にとっては大きな損失につながります。

しかし保証型ファクタリングを利用していれば、契約時に設定された保証限度額内でファクタリング会社から支払いを受けられるため、倒産による資金ショックを軽減できます。とくに少数の大口取引先に依存している企業では、こうした保証が経営の安定に直結します。

与信管理の省略化が可能

企業が取引先の信用を独自に管理・評価することは、多くの時間と手間を要します。保証型ファクタリングを導入すれば、その与信判断をファクタリング会社に任せることができるため、自社の与信管理業務を大幅に省力化できます。 また、保証対象となるかどうかの審査を通じて、ファクタリング会社の視点での信用調査が行われるため、取引リスクの客観的な見極めにもつながります。これにより、社内のリソースを本業に集中させながら、リスクマネジメントを強化することが可能です。

ファクタリングの保証型における注意点

ポイントを示すスーツを着たビジネスウーマン

保証型ファクタリングは、貸倒リスクを回避するうえで非常に有効な手段ですが、利用にはいくつかの制約やコストが伴います。あらかじめその仕組みを正しく理解し、契約内容をよく確認することが大切です。

保証料が必要

保証型ファクタリングは、売掛債権の未回収時に補償を受けられるという特性上、一定の「保証料」が発生します。この保証料は取引額や売掛先の信用力、保証期間によって異なりますが、毎月・毎年といった定期的なコストとなるため、経営に与える影響を見極めておく必要があります。

保証料は保険料に近い性質を持つため、実際に債権が未回収とならなければ金銭的なリターンは発生しません。それでも、万が一の事態に備える「安心代」として、費用対効果を判断する視点が求められます。

取引先の信用力によっては保証が限定される

保証型ファクタリングを利用するには、売掛先に対する事前の信用審査を通過する必要があります。信用力が不十分と判断された場合、保証そのものが断られたり、保証額が制限されたりするケースもあります。

このため、どの取引先が保証対象となるのか、保証限度額はいくらなのかといった条件は、契約時点で詳細に確認しておかなければなりません。保証があるという前提で経営判断を下すと、実際に保証が適用されなかった場合にリスクが顕在化することもあるため、注意が必要です。

ファクタリングの保証型で貸倒損失リスクを回避

リスクを回避している写真

保証型ファクタリングは、企業にとって頭の痛い問題である「貸倒損失」を事前に防ぐための有効な手段です。とくに不安定な経営状況にある取引先との継続取引や、海外企業との売掛取引においては、契約不履行のリスクが現実のものとして存在しています。

こうした状況において、保証型ファクタリングを導入していれば、一定額までの損失はファクタリング会社が引き受けてくれるため、収益構造へのダメージを最小限に抑えることができます。事業の安定性や信用管理の一環として、保証型は非常に有効なツールであるといえるでしょう。

また、保証契約があることで、より積極的な営業戦略や新規取引にも挑みやすくなるという副次的な効果もあります。「リスクに備えながら攻める」経営を実現したい企業にとって、保証型ファクタリングは大きな味方となります。

まとめ

買取ファクタリングと保証型ファクタリングは、どちらも企業にとって重要な資金戦略の選択肢ですが、その目的と機能は大きく異なります。買取ファクタリングは資金を即時に現金化したい場面に有効であり、保証型ファクタリングは売掛先の倒産や支払遅延に備えるリスク対策として活用されます。

どちらの形式にもメリット・デメリットがありますが、自社の課題や目的に応じて正しく選ぶことで、資金繰りの改善だけでなく、安定した経営体制の構築にもつながります。

ファクタリングの導入を検討する際は、それぞれの仕組みや注意点をよく理解したうえで、信頼できるファクタリング会社を選ぶことが成功のカギとなるでしょう。

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