売掛金を現金化できるファクタリングとは?メリット・デメリットを徹底解説!

札束

資金繰りに悩みながらも、銀行融資は難しい……そんな状況に直面していませんか?多くの企業が抱える「売掛金のタイムラグ」による資金不足の不安は、経営の大きなストレスになりがちです。

本記事では、売掛債権を早期に現金化できる「ファクタリング」の仕組みや種類、メリット・デメリットを専門的にわかりやすく解説します。ファクタリングが自社に適しているかを判断し、健全なキャッシュフローを目指したい方に必読の内容です。

目次

ファクタリングとは

factoring と書かれた画像

ファクタリングとは、企業が保有する売掛金(売掛債権)をファクタリング会社に譲渡することで、支払期日を待たずに早期に現金化する資金調達の手法です。金融機関からの融資とは異なり、借り入れではないため負債の計上が不要であり、財務上の圧迫を抑えながらキャッシュフローを改善できるのが特長です。

とくに中小企業や創業間もない企業、または急な資金需要に対応したい事業者にとっては、有効な資金繰り手段の一つとされています。ファクタリングは信用力が十分でない企業でも利用しやすく、取引先の信用状況を重視した審査であるため、自社の赤字や税金未納といった状況でも柔軟に対応できるケースが少なくありません。

ファクタリングにはいくつかの種類が存在し、目的や取引形態に応じて使い分けることが重要です。ここでは以下の、代表的な4種類のファクタリングについてその仕組みや特長を順にご紹介します。

  • 買取ファクタリングの仕組み
  • 保証ファクタリングの特徴
  • 医療報酬債権ファクタリングの利点
  • 国際ファクタリングのポイント

買取ファクタリングの仕組み

買取ファクタリングとは、企業が保有する売掛債権をファクタリング会社に売却し、現金化する代表的なファクタリング手法です。取引の基本構造は、「企業(売掛債権の保有者)」が「ファクタリング会社」に債権を譲渡し、一定の手数料を差し引いた額が支払われるというものです。

この手法の特徴は、売掛先の支払いを待たずに現金が手元に入る点にあります。この特徴により、資金繰りの遅延を回避でき、仕入れや人件費、外注費などの支出にも即座に対応できるようになります。契約形態には2者間と3者間があり、売掛先に知られたくない場合は2者間ファクタリングを選ぶ企業も多いです。

一方で、ファクタリング会社にとっては売掛先からの回収リスクを負うことになるため、売掛先の信用力が重視され、場合によっては手数料が高めに設定されることもあります。

保証ファクタリングの特徴

保証ファクタリングは、売掛先からの入金が遅れたり不履行になったりした場合に備えて、ファクタリング会社が一定の保証を提供する形式のファクタリングです。企業は売掛債権の保有者として、ファクタリング会社から「保証付きサービス」を受けることで、万が一の回収不能リスクを軽減できます。

この手法の利点は、売掛先の経営状況に不安がある場合や、長期取引による信用管理の負担を軽減したい場合に有効である点です。とくに海外取引や、新規の取引先との商談が増える局面では、こうした保証のある契約がリスクヘッジの手段となります。

ただし、保証範囲には制限があることが多く、売掛先の倒産など「一定の事由に限る」ケースが一般的です。契約内容を十分に精査し、適用範囲を理解したうえで活用することが重要です。

医療報酬債権ファクタリングの利点

医療報酬債権ファクタリングは、病院やクリニック、調剤薬局などが、国保連や社保支払基金から受け取る診療報酬を対象としたファクタリングです。診療報酬は確実性の高い債権である一方、入金までに通常1か月以上かかるため、医療機関では資金繰りに支障をきたすことも少なくありません。

このファクタリングを利用することで、医療機関は請求月の診療報酬を早期に現金化でき、医療スタッフの人件費や薬剤の仕入れなど、日常的な運転資金の確保がしやすくなります。審査の際には、医療機関自体の信用力よりも、支払基金からの入金実績や請求内容が重視されるため、利用のハードルが比較的低いのも特徴です。

また、診療報酬は公的機関が支払うため、回収不能リスクがほとんどなく、ファクタリング会社にとってもリスクが低い分、手数料が抑えられる傾向があります。資金の流動性を確保したい医療機関にとっては、非常に現実的な選択肢といえるでしょう。

国際ファクタリングのポイント

国際ファクタリングは、海外の取引先との輸出入取引において売掛金を早期に現金化できる手段です。海外との商取引では、取引先の支払いが期日通りに行われる保証が乏しく、また法的手段による債権回収も難航しがちです。そうしたリスクに備えるため、国際ファクタリングは非常に有効です。

この手法では、輸出企業側と輸入企業側それぞれにファクタリング会社が存在し、売掛金の支払い・回収の流れを相互に保証する体制が整っています。売掛先が倒産した場合や、支払拒否が発生した際も、一定範囲の保証が付くため、売掛金を失うリスクを最小限に抑えられます。

また、現地の法制度や商習慣を理解したファクタリング会社が介在するため、貿易取引に不慣れな企業でも安心して契約を進めることが可能です。輸出企業にとっては、現地通貨の為替リスクを回避する目的でも活用されており、グローバル市場への展開を支える一手として注目されています。

ファクタリングのメリット

「MERIT」と書かれた積み木

ファクタリングは売掛金を早期に現金化できるという点で、多くの企業にとって魅力的な資金調達手段です。とくに急な資金ニーズに直面した際や、銀行融資では対応が難しいケースでも柔軟に活用できる点が注目されています。ここでは以下の、ファクタリングの代表的なメリットについて解説します。

  • 迅速な資金調達が可能
  • 柔軟な審査で利用しやすい
  • リスクが低いノンリコース

迅速な資金調達が可能

ファクタリングの最大の強みは、スピード感のある資金調達ができる点です。通常の銀行融資では、審査や書類の準備、承認プロセスに数週間から1か月ほどかかることも珍しくありません。一方でファクタリングは、必要書類が比較的少なく、売掛先の信用を重視した審査であるため、手続きがスムーズです。

実際には、最短で当日中に現金が振り込まれるケースもあり、資金繰りが逼迫している企業にとっては非常に助かる存在です。売掛金が手元に入るまでの期間を短縮できるため、次の仕入れや人件費の支払いなどに素早く対応でき、事業活動の停滞を防ぐことができます。

柔軟な審査で利用しやすい

ファクタリングは、借入とは異なり「売掛債権の売却」による資金調達です。そのため、自社の財務状況や赤字、税金未納などがあっても、利用できる可能性があります。これは、審査の対象が「売掛先の信用力」であるためであり、自社の信用情報や過去の業績が大きな障壁になりにくい仕組みになっています。

この柔軟さは、創業したばかりの企業や、金融機関の審査に通過しにくい中小企業にとって大きなメリットです。また、既に他の借入枠を使い切っている企業でも利用可能なため、資金調達の選択肢を広げる手段として注目されています。

リスクが低いノンリコース

ファクタリングには、「ノンリコース(償還請求権なし)」と「リコース(償還請求権あり)」の2種類がありますが、とくにノンリコース型は、万が一売掛先が倒産した場合でも、利用企業がその支払い責任を負わない点が特徴です。

つまり、債権の回収不能というリスクをファクタリング会社が引き受ける形となるため、資金調達後の返済リスクが実質的にゼロに近づきます。これは、銀行融資や社債発行などと比べても大きな利点であり、キャッシュフローを安定化させたい企業にとっては安心材料となるでしょう。

ただし、ノンリコース型はファクタリング会社側のリスクが高まるため、手数料はやや割高になる傾向があります。とはいえ、信用リスクを回避したい企業にとっては、それを上回るメリットが期待できる手段といえます。

ファクタリングのデメリット

「DEMERIT」と書かれた積み木

ファクタリングは、売掛金をスピーディに現金化できる有効な手段ですが、利用にはいくつかの注意点も存在します。とくにコスト面や契約上の条件は、導入前に理解しておくことが大切です。ここでは、ファクタリングを利用する際に考慮すべき、以下のデメリットについて解説します。

  • 手数料が発生すること
  • 掛け目について
  • 債権譲渡通知の必要性

手数料が発生すること

ファクタリングは、売掛債権を譲渡することで早期に現金を得られる仕組みですが、その対価として手数料がかかります。手数料は売掛債権の金額に対して一定の割合で設定され、契約形態や売掛先の信用力、回収までの期間などによって異なります。

一般的に、3者間ファクタリングは1%〜9%、2者間ファクタリングは10%〜20%程度が相場とされています。とくに2者間では売掛先の関与がなく、回収リスクをファクタリング会社が大きく負うため、手数料が高めに設定されがちです。

この手数料を差し引いた金額が入金されるため、ファクタリングの利用が頻繁になると、長期的には資金効率に影響を与えることもあります。そのため、利用の目的や回数、コストと資金調達のバランスをよく検討する必要があります。

掛け目について

ファクタリングでは、売掛債権の満額がそのまま現金化されるわけではなく、「掛け目(かけめ)」と呼ばれる評価率が適用されます。掛け目とは、売掛債権のうち何割を現金として支払うかを示す割合のことで、たとえば掛け目が90%であれば、1,000万円の債権に対して900万円が支払われる計算になります。

この掛け目は、売掛先の信用度や債権の種類、支払いサイトの長さなどによって変動します。信用力が低いと判断された場合は、掛け目が80%以下になることもあり、調達できる金額が期待より少なくなることもあります。

そのため、売掛債権の金額だけでなく、実際に現金化される金額を事前に把握しておくことが大切です。見積もりの段階で掛け目を明示してくれる業者を選ぶと安心です。

債権譲渡通知の必要性

ファクタリングの契約形態によっては、売掛先に対して「債権譲渡通知」を送付する必要があります。とくに3者間ファクタリングでは、債権の譲渡を売掛先が承諾し、今後の支払い先をファクタリング会社に変更することが求められるため、この通知は必須となります。

通知を行うことで取引の透明性が確保され、ファクタリング会社としても売掛金の回収リスクを軽減できます。しかし、売掛先に対して「資金繰りが厳しいのでは」といった印象を与えてしまう可能性があるため、取引先との信頼関係に影響が出る懸念もあります。

一方で、2者間ファクタリングではこの通知が不要であるため、外部に知られずに資金調達が可能です。ただし、その分ファクタリング会社がリスクを負うことになり、前述のとおり手数料が高くなる傾向があります。通知の有無とコストのバランスを見ながら、最適な契約形式を選ぶことが重要です。

ファクタリングの注意点

問題点を発見する・見つける

ファクタリングは、早期の現金化という大きなメリットがある一方で、契約形態や条件によっては思わぬリスクやコストが発生することもあります。とくに契約方式ごとの仕組みの違いや、事前確認の不足がトラブルにつながることもあるため、あらかじめ注意点を把握しておくことが大切です。

買取型の注意点

買取型ファクタリングでは、売掛金をファクタリング会社に売却し、現金化する形式です。この場合、売掛先からの回収不能リスクをどちらが負うかによって契約内容が大きく異なります。とくに注意が必要なのが、リコース契約(償還請求権あり)の場合です。売掛先が倒産や支払不能に陥った際、その損失は利用企業が負担することになります。

また、買取型では契約時に債権の評価が行われ、信用リスクや支払サイトの長さによって掛け目や手数料が変動します。想定よりも低い金額しか調達できないケースもあるため、事前に見積もりの内容を細かく確認する必要があります。手数料だけでなく、契約手続きの透明性や説明責任がしっかりしている会社を選ぶことも重要な判断材料です。

保証型の注意点

保証型ファクタリングは、取引先の未払いリスクをファクタリング会社が保証してくれる点が大きな特徴ですが、すべてのリスクがカバーされるわけではありません。保証範囲には明確な制限があるケースが多く、「遅延」に対する保証はされても、「債権自体が無効と判断された場合」や「売掛先に債務不履行の正当な理由がある場合」などは補償対象外となることがあります。

また、保証を付けることによって、手数料が通常のファクタリングよりも高くなる傾向があります。そのため、実際の保証内容と費用のバランスを見極めることが大切です。保証型は安心感がある一方で、内容を誤解したまま契約すると、いざというときに想定外の損失を被るおそれがあるため、契約書の確認と説明の理解は徹底するべきです。

ファクタリング会社を比較する際のポイント

ビジネスイメージ―ポイント

ファクタリング会社を選ぶ際には、単に手数料の安さだけで決めてしまうのは危険です。現金化のスピードや契約の柔軟性、対応の丁寧さなど、総合的に信頼できる会社であるかを見極めることが重要です。

まず注目すべきなのは、取扱い債権の種類と契約形式です。たとえば、医療報酬や介護報酬といった公的債権に対応しているかどうか、2者間か3者間か、ノンリコースに対応しているかなどは、会社ごとに異なります。また、手数料はもちろんですが、「掛け目」や「支払までの所要日数」など、実際に受け取れる金額やタイミングも含めて比較することが必要です。

加えて、契約の透明性も重要な判断軸です。説明不足や契約書の不備がある会社は、後々のトラブルにつながる可能性があるため注意が必要です。事前に複数社から見積もりを取り、説明対応やレスポンスの速さなども確認したうえで、信頼できる事業者と契約を結ぶようにしましょう。

まとめ

ファクタリングは、売掛金を早期に現金化できる柔軟な資金調達手段として、多くの企業に利用されています。銀行融資に比べて審査が通りやすく、最短即日で資金を得られるスピード感も大きな魅力です。とくに、支払サイトが長くキャッシュフローに不安を感じている事業者にとって、ファクタリングは有効な選択肢となるでしょう。

一方で、手数料や掛け目、債権譲渡通知の有無など、利用前に確認すべき注意点も少なくありません。契約形態やファクタリング会社によって条件が異なるため、信頼性やサポート体制、実際に受け取れる金額をしっかり見極めることが大切です。

本記事で紹介した内容を参考に、自社に合ったファクタリングの形を見つけ、資金繰りの改善に役立ててください。正しく理解し、適切に活用することで、事業運営におけるリスクを抑えつつ、より健全な経営基盤を築くことが可能です。

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