競輪の車券を購入する際、多くの買い方を使いこなすことは、予想の精度を高め、的中への可能性を広げるための重要なスキルです。「流し」や「ボックス」といった買い方に加え、ぜひマスターしたいのが「フォーメーション」という買い方です。フォーメーションは、1着、2着、3着にそれぞれ異なる選手を配置することで、買い目を効率的に絞り込みながらも、柔軟な予想を組み立てることができる戦略的な投票方法です。
この記事では、競輪のフォーメーションとはどのような買い方なのか、その基本的な仕組みから、点数の計算方法、マークシートの書き方、そして実践的な活用方法まで、初心者の方にも分かりやすく徹底的に解説していきます。
競輪のフォーメーションとは?どんな買い方?

競輪予想の幅を広げる「フォーメーション」とは、具体的にどのような投票方法なのでしょうか。他の代表的な買い方である「流し」や「ボックス」との違いを理解することで、その特徴と利点がより明確になります。
フォーメーションと流しの買い方の違い
フォーメーションとは、三連単や二車単といった着順を当てる車券を購入する際に、「1着に来る可能性のある選手グループ」「2着に来る可能性のある選手グループ」「3着に来る可能性のある選手グループ」をそれぞれ個別に指定し、その全ての組み合わせを購入する方法です。
例えば、「1着は1番か2番、2着は3番か4番、3着は5番か6番」といったように、各着順の候補を自由に設定できます。これにより、本命選手が1着にならなかった場合の展開や、人気薄の選手が2着や3着に絡んでくるような、複雑なレース展開にも対応できるのが大きな特徴です。予想に強弱をつけ、無駄な買い目を省きながら、狙った着順の組み合わせを効率的に網羅できる、非常に戦略的な買い方と言えるでしょう。
フォーメーションとボックスの買い方の違い
「流し」は、1着(または1着と2着)になる選手(軸)を1人(または2人)固定し、相手となる選手を複数選んで、その全ての組み合わせを購入する方法です。例えば、三連単の「1着軸総流し」であれば、「1着は1番、2着と3着は残り全選手」という買い方になります。これは、「この選手が1着になる」という絶対的な自信がある場合に非常に有効な買い方です。
一方、フォーメーションは、1着の候補を複数選ぶことができます。例えば、「1着は1番か2番、2着は…」というように、軸となる選手を複数設定できる点が「流し」との大きな違いです。これにより、「1番か2番のどちらかが勝つだろうが、2着以降は混戦になりそうだ」といった、より柔軟な予想を反映させることが可能になります。
競輪のフォーメーションの点数計算方法を解説!

フォーメーションで購入する際の組み合わせ点数を事前に把握することは、予算管理の上で非常に重要です。一見複雑に見えますが、簡単な計算方法を覚えれば誰でもすぐに算出できます。
フォーメーションの点数計算
フォーメーションの点数計算は、「各着順で選んだ選手数同士が重複しないように掛け算し、最後にそれらを足し合わせる」というルールで行います。少し複雑に聞こえますが、具体的な例で見てみましょう。
例えば、三連単で以下のようなフォーメーションを組んだとします。
- 1着:1番、2番 (2人)
- 2着:1番、2番、3番 (3人)
- 3着:1番、2番、3番、4番 (4人)
この場合の計算方法は以下の通りです。 まず、1着が「1番」だった場合を考えます。 2着には「1番」以外の「2番、3番」(2人)が入る可能性があります。 そして、1着が「1番」、2着が「2番」だった場合、3着には「1番、2番」以外の「3番、4番」(2人)が入る可能性があります。 同様に、1着が「1番」、2着が「3番」だった場合、3着には「1番、3番」以外の「2番、4番」(2人)が入る可能性があります。 これを全てのパターンで計算するのは大変なので、簡単な公式を使います。
【フォーメーション点数計算式】
(A × B × C) – {(A∩B) × C} – {(A∩C) × B} – {(B∩C) × A} + 2 × (A∩B∩C)
※A, B, Cは各着順の人数、(A∩B)はAとBの重複人数
上記の例だと、 A=2, B=3, C=4 A∩B (1,2着の重複) = 2人 (1,2) A∩C (1,3着の重複) = 2人 (1,2) B∩C (2,3着の重複) = 3人 (1,2,3) A∩B∩C (1,2,3着の重複) = 2人 (1,2)
これを計算機サイトなどに入力するか、手計算でも算出できますが、最も簡単なのは、各着順で重複する選手を考慮しながら、足し算で考える方法です。
【簡単な計算方法】
- 1着が1番の場合
- 2着は2番か3番 (2通り)
- 1-2-流し → 3着は3,4 (2通り)
- 1-3-流し → 3着は2,4 (2通り)
- 計 2 + 2 = 4点
- 2着は2番か3番 (2通り)
- 1着が2番の場合
- 2着は1番か3番 (2通り)
- 2-1-流し → 3着は3,4 (2通り)
- 2-3-流し → 3着は1,4 (2通り)
- 計 2 + 2 = 4点
- 2着は1番か3番 (2通り)
合計:4点 + 4点 = 8点
このように、軸となる選手を一人ずつ固定して計算すれば、比較的簡単に合計点数を出すことができます。競輪場のウェブサイトや投票サイトには、点数計算ツールが用意されていることが多いので、複雑なフォーメーションを組む際は、それらを活用するのが最も確実で便利です。
競輪のフォーメーションのマークシートの書き方を詳しく解説!

競輪場や場外車券売場でフォーメーション投票を行う際には、専用のマークシートを使用します。
競輪のフォーメーション投票で使用するマークシートは、通常、ピンク色で「フォーメーション/ボックス」と書かれています。流し投票用の緑色のマークシートとは異なるので、間違えないように注意しましょう。
書き方の手順は以下の通りです。
- 開催場・レース番号のマーク: まず、購入したいレースの開催競輪場と、レース番号(例:11R)を正確にマークします。
- 式別のマーク: 次に、購入したい車券の種類(式別)をマークします。「3連単」「3連複」「2車単」「2車複」「ワイド」の中から、予想したものを一つ選びます。ここでは「3連単」を例にします。
- 1着のマーク: マークシートの中段にある「1着」の欄で、1着に来る可能性があると予想した選手の車番を全てマークします。例えば、「1番と2番が1着候補」であれば、「1」と「2」の数字を塗りつぶします。
- 2着のマーク: 同様に、「2着」の欄で、2着に来る可能性があると予想した選手の車番を全てマークします。
- 3着のマーク: 最後に、「3着」の欄で、3着に来る可能性があると予想した選手の車番を全てマークします。
- 金額のマーク: 購入金額をマークします。例えば、「1」の数字と、「百円」の単位をマークすれば、各組み合わせを100円ずつ購入することになります。
【記入例:1着[1,2] – 2着[1,2,3] – 3着[1,2,3,4] の場合】
- 「1着」の欄:「1」と「2」をマーク
- 「2着」の欄:「1」と「2」と「3」をマーク
- 「3着」の欄:「1」と「2」と「3」と「4」をマーク
これで、先ほど計算した8点の組み合わせが全て購入できます。マークシートは、丁寧にはっきりと塗りつぶすようにしましょう。書き間違えた場合は、新しいマークシートに書き直すのが確実です。このマークシートを使えば、窓口や自動発券機で簡単にフォーメーション投票の車券を購入できます。
競輪のフォーメーションの活用方法は?おすすめの買い方を紹介

フォーメーションは、ただ複雑な買い目を作るためのものではなく、レース展開の予測を車券に反映させるための戦略的なツールです。
フォーメーションの最大の強みは、複数のレース展開を想定した買い方を、点数を抑えながら実現できることです。以下に、代表的な活用パターンを挙げます。
1. 強力な2選手による優勝争いを狙う
「1番と2番のどちらかが勝つだろうが、どちらが勝つかは分からない」というレースは頻繁にあります。このような場合、以下のようなフォーメーションが有効です。
- 1着:1, 2
- 2着:1, 2
- 3着:3, 4, 5 (3着候補の選手) これは、1着-2着の組み合わせが「1-2」か「2-1」になることを想定しつつ、3着には他の有力選手が来る展開を狙う買い方です。点数を抑えながら、本命2選手のワンツー決着を狙うことができます。
2. 本命ラインと対抗ラインの攻防を狙う
「1-2-3」のラインが本命だが、「4-5」の別ラインの選手も強力で、本命ラインを崩しに来る可能性がある、といったレース展開を読む場合です。
- 1着:1, 2
- 2着:1, 2, 4
- 3着:1, 2, 3, 4, 5 このフォーメーションでは、本命ラインの1番か2番が1着になることを軸としつつ、2着には対抗ラインの4番が食い込んでくる可能性もカバーしています。3着を手広く買うことで、高配当のきっかけとなる着順の乱れにも対応できます。
3. 3着に人気薄の選手を絡めて高配当を狙う
「1着と2着は本命選手で堅そうだが、3着は誰が来てもおかしくない混戦模様だ」というレースで、フォーメーションは特に威力を発揮します。
- 1着:1
- 2着:2
- 3着:3, 4, 5, 6, 7 (全選手や、人気薄を含む有力候補) これは、1着と2着を固定した「二車単」の予想に、3着候補を手広く加えることで三連単を狙う戦略です。もし3着に人気のない選手が入れば、たとえ1着・2着が本命でも、三連単の配当は一気に跳ね上がります。このように、自信のある部分とない部分で強弱をつけた買い方ができるのが、フォーメーションの最大の魅力です。
まとめ
競輪予想における「フォーメーション」は、各着順の候補選手を個別に指定することで、自分のレース展開予測をより忠実に、かつ効率的に車券に反映させることができる、非常に戦略的な投票方法です。 軸選手を1人に絞りきれない場合や、2着・3着に複数の選手が絡む混戦が予想される場合に、その威力を発揮します。流し買いのように点数が過大になることを防ぎ、ボックス買いのように全ての組み合わせを買う無駄を省きながら、狙った買い目を的確に購入できるのが大きなメリットです。 最初は点数計算が少し複雑に感じるかもしれませんが、ウェブサイトの計算ツールなどを活用すれば簡単に算出できます。マークシートの書き方も一度覚えてしまえば簡単です。 「この選手は1着か2着だろう」「この選手は3着までならありそうだ」といった、自分なりのレース展開の「シナリオ」を組み立て、それをフォーメーションという形で表現する。このプロセスこそが、競輪予想の奥深さと面白さを、より一層高めてくれることでしょう。