他社利用中でもOK?ファクタリング乗り換えの可否と注意点

他社利用中でもOK?ファクタリング乗り換えの可否と注意点

現在利用中のファクタリング会社から、より良い条件の会社へ乗り換えを検討する企業が増えています。契約を移行することにより、手数料の削減や融通の利く資金調達が可能になるためです。現在の契約に不満を感じている企業や事業規模が拡大している企業にとって、乗り換えは大きなチャンスとなるでしょう。

ただし、乗り換えには注意すべきポイントもあります。二重譲渡を避けることはもちろん、新規契約の手続きや審査基準の確認など、しっかりと準備を整える必要があります。

この記事では、ファクタリングの乗り換えについての基本的な知識から具体的な手順や注意点まで、これから乗り換えを検討される方に役立つ情報をまとめています。

目次

ファクタリングの乗り換えに関する基本知識

ファクタリングの乗り換えに関する基本知識

既存の取引先から新しい会社への乗り換えは、禁止する規定はなく、より有利な条件の会社に変更できます。ただし、乗り換えの際には、すでに買い取ってもらった債権を他社で再度利用できないなど、いくつかのルールと注意点があります。

基本的な仕組みと手続きの流れを見ていきましょう。

乗り換えの仕組みと基本的な流れ

他社への乗り換えは、基本的に新規で契約を結び直します。その際は、より良い条件を見極めるために、複数社から見積もりを取りましょう。

手続きはオンラインで完結できる場合も増えており、来店不要で手軽に進められるようになっています。乗り換えの基本的な流れは以下の通りです。

  1. 現在の契約内容の確認
    • 手数料率や諸経費の確認
    • 債権譲渡登記の有無
    • 対応の質やスピードの評価
  2. 新規会社への申し込み準備
    • 必要書類の準備(本人確認書類、売掛金関連書類など)
    • 過去の取引実績の確認
    • 希望条件のリストアップ
  3. 審査・契約手続き
    • オンラインまたは対面での申し込み
    • 書類提出と審査
    • 契約内容の確認と締結
  4. 新規取引開始
    • 新しい売掛債権での取引開始
    • 入金確認と手数料支払いの流れを確認

新規契約の手続き

他社への乗り換えは、既存の契約をそのまま維持しながら手続きを進められます。契約の解約は必要ありませんが、現在利用中の売掛債権は新規契約では使えません。

■新規契約の進め方

  1. 事前準備
    • 現在の契約内容の整理
    • 必要書類の準備
    • 乗り換え希望会社へ相談・見積り依頼
  2. 申し込み手続き
    • オンラインまたは窓口で申し込み
    • 基本書類の提出
    • 希望条件の伝達
  3. 審査対応
    • 追加書類の提出対応
    • 取引履歴の確認
    • 電話やメールでのやり取り
  4. 契約締結
    • 契約内容の最終確認
    • 契約書への捺印
    • 債権譲渡書類の作成
  5. 取引開始
    • 新規債権での取引スタート
    • 入金スケジュールの確認
    • 担当者との連絡方法を確認

■必要書類一覧

  1. 基本書類
    • 本人確認書類
    • 売掛金が確認できる書類(請求書など)
    • 通帳のコピー
    • 決算書(法人の場合)
  2. 追加で求められる可能性がある書類
    • 印鑑証明書
    • 定款(法人の場合)
    • 取引先との契約書
    • 過去の取引実績資料

乗り換え先の会社によっては、追加の書類が必要になることもあるため事前に確認しましょう。

乗り換えによる資金調達の最適化

手数料は会社によって大きく異なり、2社間取引で10〜20%、3社間取引で1〜9%程度が一般的です。

多くの会社では乗り換え希望の顧客に対し、通常の新規契約より手数料を下げるなどの優遇措置を設けているので、手数料率や諸経費の有無、入金までのスピード、対応の質など、様々な観点から最適な会社を選びましょう。債権譲渡登記が不要な会社を選ぶことで、余計な費用負担を避けることも可能です。

資金繰りの相談に乗ってくれる担当者や、質問に対する対応の質も会社を選ぶ際には見逃せません。またオンライン完結型の取引を選べば、時間や手間を大幅に削減できるメリットもあります。

乗り換え前の準備と確認事項

乗り換え前の準備と確認事項

新しい契約先への乗り換えを検討する際には、以下の重要なポイントを押さえておきましょう。

  • 必要書類と審査基準の確認
  • 現契約の条件整理と見直し
  • 新規契約における重要な確認項目

さらに全体の手数料を下げるだけでなく、取引のしやすさや入金スピードなど、実務面での効率も考えなければなりません。また、新しい契約先の評判や信頼性も事前にチェックしておきましょう。ではそれぞれについて解説します。

必要書類と審査基準の確認

下記が乗り換えに必要な基本書類です。

  • 通帳のコピー
  • 売掛金関連の書類(請求書や契約書などの取引実態が分かるもの)

赤字決算中の企業でも審査に通る可能性はありますが、決算書の提出を求められることがあります。これらに加えて、本人確認書類も用意しておくとよいでしょう。

審査ではこれまでの取引実績が大きく評価され、支払いの遅れがないことが高評価につながります。とくに利用中のサービスで支払期日に確実に返済していた履歴があれば、審査通過の大きなポイントとなります。

また、取引先との関係性や業界での評判なども、審査の対象となる場合があります。過去の取引での信頼性が確認できれば、有利な条件を引き出しやすいでしょう。

現契約の条件整理と見直し

契約内容を見直すことで、乗り換え後の条件をより良くすることができます。主なチェックポイントは以下の通りです。

  • 手数料率の確認
  • 債権譲渡登記の有無
  • 諸経費の発生状況(出張費用、事務手数料、交通費など)
  • 取引実績の履歴
  • 支払期日の条件
  • 買取可能額の範囲

乗り換えによって手数料を3%以上下げられる場合もあるため、現在の条件を正確に把握しておきましょう。債権譲渡登記が必要だった場合は、登記不要の業者に乗り換えることで8~10万円程度コストを抑えられます。諸経費の発生状況は見落としがちですが、総合的なコストを把握することでより効果的な乗り換えが実現できます。

新規契約における重要な確認項目

新しい契約では、以下の項目をとくに注意して確認します。

  • 買取可能額の範囲(最低額と上限額)
  • 資金調達のスピード(即日対応の可否)
  • 取引方法(オンライン完結か対面必要か)
  • 償還請求権の有無
  • 債権譲渡登記の必要性
  • 諸経費の発生有無
  • 担当者の対応
  • 緊急時の連絡体制
  • 事務手続きの簡便さ

乗り換え先を探す際には、手数料の金額だけでなく、日々の取引がスムーズに進められるかどうかもポイントです。自社の業務フローに合わせた対応が可能か、担当者との相性は良いか、緊急の資金調達にも柔軟に応じてくれるかなど、実務面での使い勝手を見極めましょう。とくに自社の取引規模や業務形態に見合った条件を提示してくれる業者を選ぶことで、安定した取引関係を築けます。

他社利用中に他のファクタリング会社に乗り換える5つのタイミング

他社利用中に他社のファクタリング会社に乗り換える5つのタイミング

ファクタリングは、継続して同じ会社と取引を続けることで手数料が下がったり、審査がスムーズになったりするメリットがあります。しかし、以下のような取引条件に不満を感じる場合は、乗り換えを検討する価値があります。

  • 手数料が高すぎる場合
  • 諸経費がかかる場合
  • 担当者の対応が悪い場合
  • 債権譲渡登記がある場合
  • 担当者が来てくれない場合

これらを詳しく見ていきましょう。

手数料が高すぎる場合

ファクタリングの手数料は会社によって大きく異なります。

2社間ファクタリングでは10~20%、3社間ファクタリングでは1~9%が一般的な相場です。しかし、最近では2社間ファクタリングでも10%を下回る手数料を提示する会社が増えており、業界全体でも手数料を下げる傾向があります。

多くのファクタリング会社は乗り換え案件を歓迎し、手数料の引き下げにも柔軟に対応してくれます。他社利用実績がある企業は信用度が高いとみなされ、より良い条件での契約が期待できるでしょう。

継続利用しているのに手数料が下がらない、相場よりも高いと感じる場合は、積極的に手数料の低い会社への乗り換えを検討しましょう。

諸経費がかかる場合

手数料以外の諸経費は、実質的なコスト負担が予想以上に大きくなることがあります。

登記費用として8~10万円、出張費や1回の取引ごとに事務手数料として数万円が追加で必要になることもあります。手数料の説明は受けていても契約時に諸経費の説明が不十分だったために、想定以上の支払いを強いられる場合もあります。

最近では、諸経費を一切請求しない会社やオンラインで取引が完結する会社が増えています。乗り換え時には諸経費を免除するキャンペーンを実施している会社もあるため、負担が重いと感じたら、追加費用が不要な会社への乗り換えを検討しましょう。

担当者の対応が悪い場合

ファクタリングは信頼関係が重要な金融取引です。担当者の説明が不十分だったり、連絡が遅かったり、質問への回答が曖昧だったりする場合は、取引の継続を見直しましょう。

とくに、緊急で資金が必要な時に連絡が取れない、機械的な対応や理解をしようとしない、資金繰りの相談や将来的な事業計画についてのアドバイスを求めても適切な対応が得られない、等は注意が必要です。

良質なファクタリング会社には、経営コンサルタントとしての知識を持つ担当者が在籍しており、資金調達以外の面でも頼りになるサポートをしてくれます。長期的な取引を考える場合、親身になって相談に乗ってくれる担当者がいるかどうかは重要な判断基準です。

債権譲渡登記がある場合

債権譲渡登記は2社間ファクタリングで必要になることが多く、1回の手続きで8~10万円の費用が発生します。この費用は原則利用者負担で、毎回の取引で発生します。

しかし、銀行融資の際に金融機関は必ず債権譲渡登記をチェックするため、融資審査で不利になる恐れがあります。また、登記情報は誰でも閲覧可能なため、取引先にファクタリングの利用を知られる可能性もあります。

登記留保という形で対応してくれる会社なら、余計な費用や情報公開のリスクを避けることができます。近年は債権譲渡登記を必須としない会社も増えており、選択肢は広がっています。

担当者が来てくれない場合

ファクタリング会社が遠方にある場合、移動時間や交通費は大きな負担です。ファクタリング会社が出張してくるケースはあっても日程調整が難しい場合や、別途費用が発生する場合もあり、時間的・金銭的なコストが増大する原因となります。

最近ではオンラインで完結する取引や、無料で訪問対応してくれる会社が増えています。スマートフォンやパソコンでの手続きに対応し、必要に応じて担当者が訪問してくれるサービスであれば、業務への影響やコストを最小限に抑えられます。業務効率を考慮すると、このような柔軟なサービスを提供する会社への乗り換えも検討する価値があるでしょう。

スムーズな乗り換えを実現するポイント

スムーズな乗り換えを実現するポイント

各社の取引条件を細かく比較したり、現在のビジネスローンからファクタリングへの乗り換えも視野に入れたりすることで、柔軟な資金調達が可能になります。手続きも効率的に進められれば、スムーズに乗り換えできます。

取引条件の比較検討方法

ファクタリング会社の取引条件を比較する際は、手数料や諸経費だけでなく、総合的な視点で検討することが必要です。まずは複数の会社から見積もりを取り、一覧にまとめてみましょう。比較するのは以下の項目です。

【ファクタリング会社の比較ポイント】

項目確認内容
基本条件手数料率(2社間/3社間)
買取可能額の上限/下限
即日対応の可否
必要書類の種類と数
諸経費事務手数料の有無
債権譲渡登記費用の要否
出張費用の請求
その他の追加費用
サービス内容オンライン取引の対応
訪問対応の有無
土日祝日の対応
経営相談等の付帯サービス
審査と入金審査にかかる日数
入金までの所要時間
分割払いの可否
他社実績による優遇制度

注目したいのは債権譲渡登記の要否や出張対応の有無、オンライン取引の可否などのサービス面です。

相見積もりを取る際は、少なくとも3社以上を比較検討し、自社の状況に最も合った会社を選びましょう。見積もり依頼時には他社からの乗り換えを検討している旨を伝えると、より有利な条件を引き出せる場合があります。

資金調達方法をビジネスローンからファクタリングに乗り換えは可能

ビジネスローンとファクタリングは、全く異なる性質の資金調達方法だからこそ乗り換えるメリットがあります。以下に主な理由を説明します。

取引の性質の違い

  • ビジネスローン:お金を「借りる」取引
  • ファクタリング:売掛債権を「売却する」取引

返済や支払いの違い

  • ビジネスローン:毎月の返済義務がある
  • ファクタリング:債権を売却するため返済義務がない

審査基準の違い

  • ビジネスローン:企業の財務状況や信用力を重視
  • ファクタリング:売掛先の支払能力を重視

このように、両者は全く異なる仕組みで資金調達を行うため、ビジネスローンの利用有無はファクタリングの契約に直接的な影響を与えません。ただし、以下の場合は注意が必要です。

  • ビジネスローンで売掛金を担保にしている
  • ローン契約で他の資金調達を制限している
  • 返済が延滞している

これらの制限がなければ、ビジネスローンからファクタリングへの乗り換えは問題ありません。

返済計画に問題がなく、担保として売掛金を設定していない場合であれば、ファクタリングへの乗り換えや併用を積極的に検討しましょう。

手続きの効率的な進め方

ファクタリングの乗り換え手続きをスムーズに進めるには、段階的な準備と実行が大切です。効率的に乗り換えを行うには、以下の手順に沿って進めるとよいでしょう。

  1. 事前準備の段階
    • 必要書類の確認と準備(請求書、通帳コピー、決算書など)
    • 現在の契約内容の確認と整理
    • 新規契約希望日の設定
    • 取引履歴や支払い状況の記録の用意
  2. 見積もり・相談の段階
    • 複数社への見積もり依頼
    • 乗り換え意向の明確な伝達
    • 契約条件の詳細確認
    • 担当者との具体的な進め方の打ち合わせ
  3. 審査・契約の段階
    • 書類提出(オンライン提出が可能か確認)
    • 審査状況の確認
    • 契約内容の最終確認
    • 新旧契約の期間重複がないかの確認

他社からの乗り換え案件は、審査もスムーズに進みやすいので、計画的に進めることで短期間での切り替えも可能です。オンラインで完結するサービスを選べば、さらに手続きの時間を短縮できます。

乗り換えによる企業メリットの最大化と注意

乗り換えによる企業メリットの最大化と注意

ファクタリングの乗り換えには、下記のようなメリットがあります。

  • 取引条件の見直しで実現する調達コストの最適化
  • 事業規模に応じた柔軟な契約内容への更新機会
  • 審査基準の確認による円滑な手続きの実現

一方で、安易な乗り換えは思わぬトラブルを招く可能性もあります。以下では、各メリットの具体的な内容と注意点を解説していきます。

取引条件の見直しで実現する調達コストの最適化

ファクタリングの乗り換えでは、手数料の引き下げが大きなメリットです。売掛債権の金額が大きくなるほど、手数料の削減効果も高まります。

乗り換えによるコストメリットには以下のようなものがあります。

  • 売掛債権の手数料削減
  • 債権譲渡登記費用の節約(8~10万円)
  • 出張費や事務手数料の見直し
  • オンライン完結型サービス選択による諸経費カット

コスト面での見直しは大切ですが、入金までのスピードやサポート対応の質なども総合的に判断する必要があります。一つ一つの条件を見比べながら、自社の状況に合ったファクタリング会社を選びましょう。

事業規模に応じた柔軟な契約内容への更新機会

事業規模の変化に応じて、ファクタリング契約の見直しが必要になることがあります。乗り換えることで、より事業に合った契約内容に変更できます。

買取限度額の引き上げや、小口債権への対応、業界特化型のサービス選択など、様々な対応が可能な会社へ変更することで、成長に合わせた資金調達をすることが可能です。また、規模縮小時には手数料の安い会社への乗り換えで、コスト削減を図ることもできます。

事業の実情に合わせて契約内容を見直すことは、契約の最適化を図る絶好の機会であり、会社の成長にもつながってきます。3ヶ月に1回程度の見直しを行うことで、その時々の事業規模やニーズに合った契約内容を維持することができ、より効率的に資金繰りができるようになるでしょう。

審査基準の確認による円滑な手続きの実現

審査を円滑に進めるためには、以下について事前に確認しましょう。

  • 必要書類の種類と準備期間
  • 取引先への通知や承諾の要否
  • 審査にかかる標準的な日数
  • オンライン申請の可否

他社での利用実績は、審査でプラスの評価につながります。以下の実績があると有利です。

  • 同一の売掛先との継続的な取引
  • 支払期日を守っていた履歴
  • 安定した売上規模の維持
  • 取引先からの評価の高さ

申込前に審査基準を確認し、自社の状況と照らし合わせましょう。事前相談で審査通過の可能性を確認できる会社や、オンラインで完結する審査を選ぶことにより、無駄な申請がなくなり手続きの負担も軽減できます。ただし、頻繁な乗り換えは信用面でマイナスとなる可能性があるため注意が必要です。

まとめ

ファクタリングの乗り換えは、企業の成長にあわせた柔軟な資金調達を可能にする戦略的な選択です。基本的な仕組みを理解し、準備を整え、最適なタイミングを計りましょう。手数料の問題だけでなくサービスの質や対応にも注目して判断することも大切です。

事前の準備段階では、現在の契約内容を整理し、必要書類の確認から審査基準まで、細かいチェックが欠かせません。全体の流れを把握し計画的に手続きを進めることで、より良い条件での契約が可能になります。ただし、安易に複数社を利用したり頻繁に乗り換えたりするのは避け、長期的な視点で判断しましょう。

調達コストの最適化、契約内容の見直し、円滑な審査対応など、様々な観点からメリットを最大限に引き出すことができれば、企業の資金繰りは大きく改善するでしょう。自社の状況に合わせた最適な乗り換えプランを検討し、より効率的な資金調達の実現を目指してください。

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