競輪は自転車競技としての観戦だけでなく、車券を購入してレース結果を予想する楽しみがあります。車券の種類や購入方法を理解すれば、初めての方でも安心してレースに参加できます。本記事では、競輪の基本ルールから車券の種類、購入方法、そして効果的な賭け方まで解説。競輪を始めたい方や、より的中率を高めたい方にとって役立つ情報をお届けします。
競輪とは

競輪は1948年に始まった日本発祥の自転車競技で、選手たちがバンクと呼ばれる楕円形のコースを走り、着順を競う公営競技です。単なる個人戦ではなく、選手同士が「ライン」というチームを組んで戦略的にレースを展開する独特の魅力があります。
レースは通常7名から9名の選手で行われ、全国43か所の競輪場で開催されています。レース距離は約2000mで統一されており、バンクの1周の長さによって周回数が決まります。競輪場ごとに特色があり、バンクの長さやカーブの角度が異なるため、選手との相性も重要な要素となります。
競輪のルール基本
競輪のレースは先頭誘導員と呼ばれるペースメーカーの後ろを選手たちが走り、残り1周半で誘導員がコースから離れた後、本格的な勝負がスタート。選手たちは「ライン」と呼ばれる2~3人のチームを組み、先行選手が風よけの役割を果たしながら番手選手を引っ張ります。
レース中の反則行為には内側追い抜き、押し上げ、押圧、斜行などがあり、違反した選手には事故点が科せられます。また、先頭誘導員を追い抜く行為も禁止されています。選手の脚質は逃げ、追い込み、自在の3種類に分類され、それぞれ得意な走り方が異なります。
レースの着順は写真判定で正確に決定され、接戦の場合は決着まで時間がかかる場合があります。審判によって違反行為の疑いがある場合は赤旗が上げられ、審議が行われます。
レース展開の特徴
競輪のレース展開は序盤、中盤、終盤の3段階に分けられます。序盤は先頭誘導員の後ろで各ラインがポジション取りを行い、中盤は残り1周半まで誘導員のペースに合わせて走行する流れです。
終盤は「ジャン」と呼ばれる鐘の合図とともに誘導員が退避し、本格的な競走が開始されます。ラインの役割分担も重要で、先行選手はラインを引っ張る役目を担い、番手選手は風よけを利用して体力を温存しながら最後のスプリントに備えるのが基本戦略です。
レース展開は「スジ」「ズブ」「ズブズブ」などの専門用語で表現され、ライン内の選手がどの順位でゴールしたかによって呼び方が変わります。バンクの長さによってもレース展開の傾向が異なり、333mバンクでは先行有利、500mバンクでは番手有利とされています。
競輪車券の種類

競輪の車券は全部で7種類存在し、それぞれ的中条件と配当金額が異なります。的中が困難な車券ほど高い配当が期待でき、当てやすい車券ほど配当は低くなる仕組みです。
初心者から上級者まで、自分の予想スタイルや資金に応じて選択できる多様性が競輪の魅力の一つといえるでしょう。車券の種類を理解すれば、レースの特性や自分の予想に合わせて最適な賭け方を選択できます。
単式車券は着順も含めて的中させる必要があり難易度は高いものの高配当が期待でき、複式車券は着順を問わないため的中しやすく初心者にも取り組みやすい特徴があります。
単勝・複勝
競輪には競馬や競艇にある単勝・複勝の車券は存在しません。代わりに2着以内や3着以内を予想する複式の車券が用意されています。
単勝に相当する1着のみを当てる車券がない理由は、競輪が個人戦でありながらライン戦略が重要であり、1着だけでなく上位着順の組み合わせを予想する楽しみがあるためです。競輪で最もシンプルな予想は、強いラインの先行選手や番手選手を軸とした車券購入といえるでしょう。
ライン内の連携がうまくいけば、そのライン内から上位入賞者が出る可能性が高くなります。初心者が単純な予想から始めたい場合は、後述するワイドや二車複といった複式車券から始めるのがおすすめです。
二車単・二車複
二車単は1着と2着を着順通りに的中させる車券で、9車立てレースでは72通りの組み合わせがあります。的中確率は約1.4%と低めですが、その分配当は高くなる傾向があります。
レース展開を読み、どの選手が1着でゴールするかまで予想する必要があるため、中級者以上に適した車券といえます。二車複は1着と2着に入る2人の選手を着順に関係なく当てる車券です。
組み合わせ数は36通りで的中確率は約2.8%となり、二車単よりも当てやすい特徴があります。配当は二車単より低くなりますが、着順を気にせず上位2名を選ぶだけなので予想の負担が軽減されるでしょう。
強いラインがある場合、そのライン内の選手同士での二車複は鉄板とされることが多く、初心者でも狙いやすい買い目です。
三連単・三連複
三連単は1着から3着まで着順通りに的中させる車券で、競輪で最も配当が高い車券です。9車立てレースでは504通りの組み合わせがあり、的中確率は約0.20%と極めて低くなります。
平均配当は約34,000円と高額で、一攫千金を狙える魅力的な車券ですが、的中は非常に困難です。三連複は1着から3着までの3人を着順に関係なく当てる車券です。
組み合わせ数は84通りで的中確率は約1.2%となり、三連単より格段に当てやすくなります。平均配当は約5,000円程度で、三連単ほどではありませんが十分な利益が期待できるでしょう。
三連単で高配当を狙う場合は、人気薄の選手を1着に置いたり、異なるライン同士の組み合わせを狙ったりする戦略が有効です。
ワイド
ワイドは1着から3着までの中から2人の選手を着順に関係なく当てる車券で、最も的中しやすい車券です。1レースにつき3つの組み合わせが的中となるため、的中確率は約8.3%と他の車券と比べて圧倒的に高くなります。
平均配当は200円から800円程度と低めですが、堅実に的中を重ねたい初心者に最適といえるでしょう。ワイドの魅力は予想の負担が軽く、競輪を始めたばかりでも気軽に楽しめる点にあります。
強い選手2人を選んでおけば、その2人が3着以内に入るだけで的中するため、レース展開の細かい分析は必要ありません。ただし配当が低いため、多くの組み合わせを購入すると配当よりも投資金額の方が上回る「トリガミ」になるリスクがあります。
競輪車券の買い方

競輪の車券は競輪場での現地購入、インターネットでの購入、電話投票、スマートフォンアプリでの購入という4つの方法があります。それぞれに特徴やメリットがあり、ライフスタイルや好みに応じて選択できます。
現代では特にインターネットやアプリでの購入が主流となっており、自宅にいながら全国の競輪場のレースに参加できる利便性が評価されています。購入方法を理解すれば、競輪場が遠い場所にあっても気軽にレースに参加できるでしょう。
現地での購入方法
競輪場での車券購入はマークシートを使用した方法が一般的です。マークシートには通常投票用とフォーメーション・ボックス投票用の2種類があり、購入したい車券の種類に応じて選択します。
マークシートに競輪場名、レース番号、車券の種類、予想する選手番号、購入金額を記入し、自動発払機に投入すれば車券が発行されます。現地購入の最大の魅力は、実際にレースを観戦しながら興奮を味わえる点です。
選手の息遣いやバンクの音、観客の声援といった臨場感は現地でしか体験できません。また、的中した場合はその場で払い戻しを受けられるため、すぐに次のレースの車券購入に回すことも可能です。
注意点として、発売締切時刻直前は窓口や自動発払機が混雑するため、時間に余裕を持って購入する必要があります。
インターネットでの購入方法
インターネットでの車券購入は、競輪の公式サイトや各種投票サイトで会員登録を行い、銀行口座やクレジットカードで入金してから投票する仕組みです。自宅のパソコンから24時間いつでも全国の競輪場のレースに参加でき、ライブ中継を見ながらレースを楽しめる利便性があります。
インターネット投票の大きなメリットは、出走表やオッズ、選手データなどの詳細な情報を簡単に確認できる点です。過去の成績や相性なども一目で分かるため、より精度の高い予想が可能になります。
また、的中した場合の払戻金は自動的に投票口座に振り込まれるため、払い戻し忘れの心配がありません。多くの投票サイトでは新規登録キャンペーンやポイント還元などの特典も用意されており、お得に競輪を楽しめる場合があります。
電話投票の利用方法
電話投票は事前に会員登録を行い、電話で投票内容を伝えて車券を購入する方法です。インターネット環境がない場合や、パソコンやスマートフォンの操作が苦手な方でも利用できる便利なサービスです。
オペレーターが投票内容を確認してくれるため、初心者でも安心して利用できます。電話投票を利用するには、まず投票口座を開設し、銀行口座から入金する必要があります。
投票時は会員番号と暗証番号を伝え、購入したい競輪場、レース番号、車券の種類、選手番号、購入金額を口頭で指定する流れです。投票内容はオペレーターが復唱して確認するため、間違いが生じにくい特徴があります。
電話投票の受付時間は一般的に朝9時から夜9時頃までとなっており、全ての競輪場のレースに対応しています。
スマートフォンアプリでの購入
スマートフォンアプリでの車券購入は、競輪の公式アプリや民間の投票アプリをダウンロードして利用する方法です。外出先からでも簡単に投票でき、プッシュ通知でレース情報や結果を受け取れる利便性があります。
アプリならではの直感的な操作性により、初心者でもスムーズに車券購入ができるでしょう。多くのアプリではライブ配信機能が搭載されており、高画質でレースを観戦できます。
また、選手データや過去の結果、オッズの変動なども手軽に確認でき、移動中や休憩時間にも予想を立てられます。GPS機能を利用した現在地周辺の競輪場情報の提供など、アプリ独自のサービスも魅力です。
アプリによってはゲーム感覚で楽しめる要素や、SNS機能による他のユーザーとの交流機能も用意されています。
初心者におすすめの車券種類

競輪を始めたばかりの初心者には、的中しやすく予想の負担が軽い車券から始めるのがおすすめです。まずは競輪の面白さを実感し、レースの流れや選手の特徴を理解することが重要です。
的中の喜びを味わいながら徐々に予想のスキルを向上させ、より高配当の車券にチャレンジしていく段階的なアプローチが効果的といえるでしょう。初心者向けの車券は配当こそ低めですが、競輪の基本的な要素を学ぶには最適です。
ライン戦略や選手の脚質、競輪場の特徴などを、実戦を通じて身につけられます。
複勝の特徴と魅力
競輪には単勝・複勝という車券は存在しませんが、同様の感覚で楽しめるのがワイドです。ワイドは実質的に複勝に近い性質を持ち、選んだ2人の選手が3着以内に入賞すれば的中となります。
競馬の複勝が1頭の馬が3着以内に入れば的中するのに対し、ワイドは2人の選手が必要な点が異なります。ワイドの魅力は予想が単純で、強そうな選手2人を選ぶだけで購入できる手軽さにあります。
レース展開の詳細な分析は不要で、出走表の競走得点や勝率を見て上位の選手を選択すれば十分です。1レースで3つの組み合わせが的中するため、的中確率が他の車券より圧倒的に高くなっています。
ワイドの狙い目
ワイドで効率的に利益を上げるには、オッズが3倍以上の組み合わせを狙うのが効果的です。人気が集中する鉄板レースを避け、実力が拮抗したレースや展開が読みにくいレースでこそワイドの真価が発揮されます。
強いライン同士の組み合わせや、異なるラインの実力者同士の組み合わせに注目すると高めの配当が期待できるでしょう。ワイドで大きな利益を狙う場合は、人気薄の選手を軸にした組み合わせが有効です。
実力はあるものの当日の調子や展開次第で上位入賞の可能性がある選手を見極められれば、10倍を超える高配当ワイドを的中させることも可能です。購入点数は1レースあたり1点から2点程度に絞り、投資金額を抑えながら継続的に勝負するのがワイド攻略の基本です。
二車複のポイント
二車複は1着と2着に入る2人の選手を着順に関係なく当てる車券で、初心者が次のステップとして挑戦するのに適しています。ワイドより的中確率は下がりますが、その分配当は高くなる傾向があります。
強いラインの先行選手と番手選手の組み合わせは、レースが順当に進めば高い確率で的中するでしょう。二車複で勝率を上げるには、ライン予想の精度を高めるのが重要です。
出走表でラインの構成を確認し、最も実力があり連携の取れたラインを見極める必要があります。同県や同じ競輪場出身の選手同士は結束が固く、ライン戦略が成功しやすい傾向があります。
二車複は「スジ」と呼ばれるライン内での1着2着が最も出現しやすいため、まずはスジでの決着を基本として予想を組み立てるのが効果的です。
賭け方のコツと戦略

競輪で継続的に利益を上げるには、単なる運任せではなく戦略的なアプローチが必要です。選手の能力分析、レース展開の予想、オッズの評価を総合的に判断し、期待値の高い車券を選択するスキルを身につける必要があります。
また、資金管理や購入点数の調整も重要な要素となるでしょう。成功する賭け方の基本は、感情に左右されず客観的なデータに基づいて判断するということです。
連敗が続いても冷静さを保ち、逆に連勝していても慢心せずに基本を守り続ける姿勢が長期的な成功につながります。
予想のポイント
競輪予想の基本は、個人の実力とライン戦略の両面から分析するアプローチです。まず出走表で各選手の競走得点や勝率を確認し、実力上位の選手を把握する必要があります。
次にライン構成を分析し、どのラインが最も強力で連携が取れているかを判断します。同県や同じ競輪場の選手同士は結束が固く、ライン戦略が成功しやすい特徴があります。
バンクの特性も予想には欠かせない要素です。333mバンクでは先行選手が有利で逃げ切りやすく、500mバンクでは番手選手が有利で差しが決まりやすい傾向があります。
400mバンクは最も一般的で、選手の実力がそのまま反映されやすくなるでしょう。レース展開の予想では、どの選手がレースをリードし、どのタイミングで勝負が始まるかを想定する必要があります。
選手データの見方
出走表に記載されている選手データの中で最も重要なのは競走得点です。競走得点は直近4ヶ月の成績を基に算出された数値で、選手の現在の実力を表す最も客観的な指標といえます。
競走得点が高い選手ほど最近の成績が良く、レースでも上位入賞の可能性が高くなります。決まり手のデータからは、選手の得意な戦法が分かります。
「逃げ」が多い選手は先行タイプで持久力があり、「差し」が多い選手は瞬発力に優れた追い込みタイプです。「まくり」が多い選手は中間的な位置から勝負を仕掛けるタイプで、展開次第で力を発揮するでしょう。
配当率の理解
オッズは車券が的中した場合の配当倍率を示し、投票金額に対してどれだけの払戻金が得られるかを表しています。オッズが低い車券は多くの人が購入している人気車券で、的中確率は高いものの配当は少なくなります。
逆にオッズが高い車券は購入者が少ない穴車券で、的中すれば大きな配当が期待できますが、的中確率は低くなります。効率的な投資を行うには、オッズと的中確率のバランスを考慮した期待値の概念が重要です。
期待値は「的中確率×オッズ」で計算でき、期待値が1.0を上回る車券は理論上利益が期待できるでしょう。ただし、的中確率の正確な算出は困難なため、経験と分析力が必要になります。
競輪投票の用語解説

競輪には独特の専門用語が数多く存在し、レース観戦や予想を楽しむためには基本的な用語の理解が欠かせません。専門用語を覚えれば、実況や解説の内容がより深く理解でき、他の競輪ファンとの会話も楽しめるようになります。
また、予想記事や攻略情報を読む際にも、用語の知識があると内容の理解度が格段に向上するでしょう。競輪用語は大きく分けて、レースの展開に関する用語、車券に関する用語、予想に関する用語の3つのカテゴリーがあります。
まずは頻繁に使われる基本的な用語から覚え、徐々に知識を拡大していくのが効率的な学習方法です。
競輪独特の用語
競輪で最も重要な用語は「ライン」で、選手同士が組む一時的なチームを指しています。同じ地区や県出身の選手同士でラインを組み、レース中盤まで協力してポジション取りを行います。
「先行」はラインの先頭を走る選手、「番手」は2番目を走る選手、「3番手」は3番目を走る選手を表します。「バンク」は競輪場のコースを指し、「カント」はコーナーの傾斜角度を表す用語です。
「ジャン」は残り1周半を知らせる鐘の音で、先頭誘導員が退避して本格的な勝負が始まる合図となります。「もがく」は選手が全力でペダルを漕ぐ様子を表現した用語です。
「頭鉄板」は1着がほぼ確実視される選手がいるレース、「荒れる」は予想外の結果になるレース、「ヨーロッパ」は実力的に劣るとされる4番、6番、8番車をまとめて呼ぶ用語といえるでしょう。
車券に関する専門用語
車券購入に関する用語では、「ボックス」は選んだ複数の選手の全ての組み合わせを購入する買い方、「流し」は軸となる選手を決めて他の選手との組み合わせを幅広く購入する方法です。「フォーメーション」は着順ごとに複数の選手を指定して総当たりで購入する方法を指します。
「トリガミ」は車券が的中したにも関わらず、投資金額の方が配当金を上回ってしまう状況を表しています。「裏車券」は本命として考えている車券と着順が逆になった場合に備えて購入する車券です。
「オッズ」は配当倍率、「配当金」または「払戻金」は的中時に受け取れる金額を指します。「締切」は車券販売の終了時刻で、レース開始の約3分前に設定されているのが一般的です。
予想に役立つ用語
レース結果を表す用語では、「スジ」はライン内の先行選手と番手選手が1着2着を占める結果、「ズブ」は番手選手が先行選手より上位でゴールする結果を表しています。「ズブズブ」は番手選手が1着、3番手選手が2着となる結果で、高配当になりやすい決着パターンです。
「本命」は最も1着の可能性が高い選手、「対抗」は本命に次いで有力な選手、「穴」は人気薄だが好走の可能性がある選手を指します。「軸」は車券購入の中心となる選手で、多くの組み合わせに含める選手を意味します。
「競走得点」は選手の実力を数値化したもので、「級班」は選手のランクを表す指標です。「脚質」は選手の得意な戦法で、逃げ、追い込み、自在の3種類があります。
まとめ
競輪の車券購入は、基本的なルールと車券の種類を理解すれば誰でも気軽に始められます。初心者はワイドや二車複といった的中しやすい車券から始め、徐々に三連単などの高配当車券にチャレンジしていくアプローチが効果的です。
購入方法も現地からインターネット、アプリまで多様な選択肢があり、ライフスタイルに合わせて最適な方法を選べるでしょう。成功の鍵は選手データの分析力とライン戦略の理解、そして冷静な資金管理にあります。
継続的な利益を目指すには、短期的な結果に左右されない長期的な視点と、データに基づいた客観的な判断力が重要です。感情的な賭けを避け、計画的に車券を購入することで、競輪を安全で楽しい娯楽として長く続けられます。