ファクタリングを断られたのはなぜ?審査基準と落ちる理由を解説

ビジネスマン 断る

「ファクタリングを申し込んだのに断られた……」と困っている事業者様は少なくありません。資金調達手段として注目されるファクタリングですが、審査通過率は約70%程度。つまり3割の方が何らかの理由で断られているのです。

審査では売掛先の信用力や売掛金の健全性、そして利用者自身の信頼性が厳しくチェックされます。本記事では、断られる具体的な理由と審査基準を解説。対策を講じることで、再申込時の審査通過率を高め、スムーズな資金調達を実現できるでしょう。

目次

ファクタリングの審査基準とは

審査と書かれたブロック、電卓、スマホ、ノート

ファクタリングは、融資に比べて通過しやすいとされる一方で、すべての申し込みが承認されるわけではありません。実際には「ファクタリング 断られた」と悩むケースも少なくなく、そこには明確な審査基準が存在します。この章では、ファクタリング会社がどのような観点から審査を行っているのか、具体的なポイントを順を追って解説します。

通常の審査基準はどの程度か

ファクタリングの審査基準は、金融機関による融資審査よりは通りやすいとされていますが、必ずしも甘いわけではありません。一般的な審査通過率はおおむね70%前後であり、これはすなわち3割程度の申し込みが否決されていることを意味します。

特筆すべきは、ファクタリングの審査対象が「利用者」ではなく「売掛先」である点です。つまり、自社の業績が赤字だったり資金繰りが厳しかったりする場合でも、売掛先の信用が高ければ審査を通る可能性が十分にあります。とくに、公的機関や上場企業など信用力のある売掛先であれば、審査は比較的スムーズに進むでしょう。

反対に、売掛先が創業間もない、あるいは過去に支払遅延の履歴がある場合には、通過は難しくなります。ファクタリング会社は、売掛金の回収可能性を重視して審査を行っているため、利用者本人の信用情報よりも売掛先の安定性が審査結果を左右するのです。

審査基準が厳しい理由

ファクタリング会社が審査を厳しく設定する最大の理由は、「売掛金の回収リスク」にあります。ファクタリングは融資と異なり、金銭の貸し付けではなく債権の買取であるため、買い取った債権が回収不能になれば、ファクタリング会社の損失となってしまいます。

とくに2社間ファクタリングでは、利用者が売掛先から売掛金を回収し、それをファクタリング会社に支払う形式です。このため、利用者が資金を使い込んでしまうリスクも存在し、利用者の人柄や経営姿勢まで細かくチェックされます。

さらに、ファクタリング会社は詐欺対策として、書類の真偽や売掛金の実在性なども慎重に確認しています。過去には架空請求や二重譲渡といった犯罪が発生していることから、少しでも疑わしい要素があれば審査は通らないと考えてよいでしょう。

このような背景から、ファクタリングの審査には「売掛先の信用」「売掛金の健全性」「利用者の信頼性」の3点が揃って初めて通過できる仕組みになっているのです。

ファクタリングの審査で重視されるポイント

ポイント

ファクタリングを利用するには、所定の審査をクリアする必要があります。ファクタリングは売掛債権を現金化する手段であり、融資のような借入とは異なるものの、すべての申し込みが通るわけではありません。

ファクタリング会社は、売掛金が確実に回収できるかどうかを最優先で判断しており、その過程では取引先の信用力や支払いの確実性、さらに利用者自身の信頼性など、いくつかの観点から総合的に評価を行います。ここでは、審査の主なチェックポイントを3つに分けて詳しく見ていきます。

取引先の信頼性

ファクタリングの審査で最も重視されるのが、売掛先の信頼性です。ファクタリング会社にとってのリスクは、債権の回収ができなくなること。したがって、売掛先が約束通り支払いを実行できる企業かどうかは非常に重要です。

具体的には、売掛先が公的機関や上場企業であれば、支払い能力に疑念がないと判断されやすく、審査に通過しやすくなります。これまでの取引実績が良好で、遅延や未払いの履歴がないこともプラス材料です。一方で、創業間もない企業や財務状況に不安がある企業が売掛先の場合、ファクタリング会社は支払いリスクを懸念し、審査が通らないこともあります。

さらに、売掛先が法人ではなく個人事業主の場合も要注意です。個人との取引は法人よりも信用調査が難しく、債権回収リスクが高いと判断されがちです。そのため、売掛先の業種・事業規模・信用情報は審査通過のカギを握るといえるでしょう。

支払いの確実性

次に重要視されるのが、売掛金そのものの回収可能性です。たとえば、請求書などの内容に不備がある、あるいは債権がすでに不良債権化している場合などは、審査に通ることは難しくなります。

売掛金の支払いサイト(入金期日)も審査に影響します。一般的に60日以内の回収が見込める売掛金であればリスクは低いとされますが、支払期日が極端に長い場合や、すでに支払い日を過ぎているものは不良債権と見なされ、ファクタリングの対象にならないケースが多く見られます。

また、二重譲渡のリスクや「債権譲渡禁止特約」がある売掛金も、審査では敬遠されがちです。債権の内容が曖昧であったり、取引が継続的ではなく一過性であったりする場合にも、審査で不利になる可能性があります。

利用者の信頼性

ファクタリングの審査では、利用者自身の人柄やビジネス上のモラルもチェックされます。たとえば、身分証明が不明瞭であったり、過去に重大なトラブル歴があったりする場合、審査に通らないことがあります。

とくに2社間ファクタリングでは、売掛先から回収した資金をいったん利用者が預かり、それをファクタリング会社に支払うという流れになります。このため、利用者に弁済能力や誠実性がないと判断されれば、回収リスクが高いと見なされ、審査でマイナスに働きます。

また、書類の準備に手間取る、対応がずさん、面談時に横柄な態度をとるなどの行動も、信頼性を損なう要因です。信用に値しない人物と判断されれば、売掛先や売掛金に問題がなくても審査に通らないことがあります。ファクタリング会社は、取引相手として安心できる人物かどうかも重視しているのです。

ファクタリングで断られる理由

理由のイメージ|「REASON」と書かれた積み木、ノート、ペン、手

ファクタリングは融資に比べて審査が通りやすい印象がある一方で、「ファクタリングを申し込んだが断られた」という事例も少なくありません。実際に、通過率はおよそ70%前後とされており、3割程度の事業者が審査に落ちているのが現状です。

審査に通過できなかった理由を把握していなければ、再申請しても同じ結果を招く恐れがあります。この章では、ファクタリングで断られる原因を「取引先」「売掛金」「利用者」の3つの視点から整理して解説します。

取引先に問題がある場合

ファクタリングにおける最大の審査ポイントは「売掛先の信頼性」です。そのため、売掛先に何らかの問題があると、たとえ利用者の経営状態が良好であっても審査は通りません。

よくある事例としては、売掛先の経営状態が不安定であるケースが挙げられます。たとえば、税金の滞納や返済遅延がある場合は差し押さえのリスクが高まり、売掛金の回収が困難になります。また、過去に滞納履歴がある、創業から日が浅いなど、信用力が低いと判断された場合も同様です。

さらに、売掛先が法人ではなく個人事業主である場合、信用調査が難しいため、ファクタリング会社から敬遠されることがあります。取引実績が少ない、または一時的な案件で今後の継続性が見込めない売掛先も審査では不利となるでしょう。

売掛金に問題がある場合

売掛先に問題がなくても、売掛金そのものにリスクがある場合、審査に落ちることがあります。代表的な要因の一つが「不良債権化」している売掛金です。すでに回収が困難と判断される債権は、ファクタリング会社にとって利益にならないどころか損失を招く可能性があります。

また、支払いサイトが長すぎる売掛金もリスク要因です。60日以上など長期にわたる場合、回収不能になるリスクが高まるため、審査に通らない可能性が高くなります。さらに、売掛金が架空の取引によるものである疑いが生じた場合や、既に別の会社に譲渡されている疑い(二重譲渡)がある場合には、審査を通過することはありません。

「債権譲渡禁止特約」が付いた売掛金も要注意です。法的には譲渡できるものの、トラブルを避けたいファクタリング会社としては、こうした債権の取り扱いを避ける傾向にあります。

利用者に問題がある場合

売掛先や売掛金に問題がなくても、利用者本人に信用上の懸念がある場合も審査に落ちる要因になります。たとえば、身分証明書に不備がある、過去に重大な契約違反歴があるなど、ビジネスパートナーとして信頼性に欠けると判断された場合は、否決されることが多くなります。

とくに2社間ファクタリングでは、売掛金を回収するのが利用者自身であるため、信頼性が重視されます。資金を回収しても、それをファクタリング会社に支払わずに流用される可能性があると判断された場合、審査は非常に厳しくなるのが一般的です。

また、必要書類を期限までに用意できない、説明に一貫性がない、面談時の態度が悪いなどの行為もマイナス評価に繋がります。ファクタリング会社は、金額の大小を問わず誠実な取引ができる相手かどうかを総合的に見極めているのです。

ファクタリング会社を選ぶ際のポイント

公園で指をさす日本人女性

ファクタリングを利用する際、審査に通るかどうかだけでなく「どの会社を選ぶか」も資金調達の成否を分ける重要な要素です。ファクタリング会社は多数存在しており、それぞれのサービス内容や審査基準、手数料体系、信頼性には大きな違いがあります。

悪質な業者に引っかかってしまうと、法外な手数料を請求されたり、契約トラブルに巻き込まれたりするリスクもあるため注意が必要です。この章では、失敗しないファクタリング会社選びのポイントを詳しく解説します。

手数料の比較

ファクタリングを利用する際に、まず確認すべきなのが手数料です。ファクタリングでは、売掛金の額面から手数料を差し引いた金額が実際に入金されます。そのため、手数料が高すぎると調達できる資金が大きく減ってしまいます。

一般的に、2社間ファクタリングでは10~20%、3社間ファクタリングでは1~9%程度の手数料が相場とされています。この範囲を大きく超える場合は、注意が必要です。とくに、極端に安い手数料を提示する業者は、あとから高額な別途費用を請求してくることもあるため、事前に総額の見積もりを確認するようにしましょう。

複数のファクタリング会社に見積もりを取り、比較検討することで、納得できる条件での契約がしやすくなります。

ファクタリング会社の選び方における重要なポイント

手数料以外にも、ファクタリング会社選びには押さえておきたい要素がいくつかあります。

まず確認すべきは「償還請求権」の有無です。これは、売掛先からの入金がなかった場合に、ファクタリング会社が利用者に支払いを求める権利のことです。償還請求権が「なし」の契約であれば、万が一売掛先が倒産しても、利用者に請求がくることはありません。

また、契約までのスピードも選定基準の一つです。即日入金に対応している会社であれば、急な資金ニーズにも対応できます。ほかにも、契約方式(オンライン・対面)、必要書類の数、最低/最高の買取可能金額、個人事業主対応の有無など、自社の状況と照らし合わせて条件が合っているかどうかを見極めることが大切です。

とくに初めてファクタリングを利用する方は、電話やチャットなどの問い合わせ対応が丁寧な会社を選ぶと安心です。

信頼性の評価

ファクタリング会社を選ぶ上で、もっとも重視すべきなのがその「信頼性」です。信頼できる会社かどうかを判断するには、いくつかのポイントがあります。まず、大手金融グループの関連会社や上場企業の子会社であれば、法令遵守や内部管理体制が整っていると考えられます。

また、実績の豊富さも重要な指標です。長年にわたり継続してファクタリングを提供している会社は、多くの取引先との信頼関係がある証拠です。さらに、Webサイト上に手数料率や対応エリア、契約までの流れなどをわかりやすく開示している会社も透明性が高く、信頼できる傾向にあります。

口コミや評判も参考になりますが、あくまでも一次情報として活用し、実際には複数社を比較して総合的に判断するようにしましょう。特定の会社だけに絞るのではなく、相見積もりを取ることで、客観的な視点からより良い選択が可能になります。

まとめ

ファクタリングは資金繰り改善の強力な手段ですが、審査基準を理解していないと断られるケースも少なくありません。審査では売掛先の信用力、支払いの確実性、そして利用者自身の信頼性が重視されます。ファクタリングを断られた場合は、取引先の経営状況、売掛金の支払期日や金額、提出書類の不備などに問題がないか見直してみましょう。 適切なファクタリング会社を選ぶことも重要です。手数料の比較だけでなく、実績や対応力も確認し、自社の状況に合った会社を選ぶことで審査通過の可能性が高まります。一度断られたとしても、原因を理解して対策を講じれば、次回の申し込みでは承認される可能性も十分にあるのです。

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